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インフォームド・コンセント その誤解・曲解・正解

本書のポイント

患者も医師も困っている―患者と医療者とが協同するために

 インフォームド・コンセントについて書かれた本は今やたくさんあります。この本がそれらと一線を画するのは、著者がEBM(科学的根拠に基づく医療)の推進を願う医師だということです。著者は「生命倫理はEBMだ」とも言います。
 
 本書を手にする読者は、「今日の医療の最大の問題は身体と心を分けたため」と言ったのが誰かを知れば、改めて医療の深遠さを認識します。インフォームド・コンセントは、感情に訴えかける類のものではなく、きちんとした科学的根拠を基に、そして患者が主役であることを認識した医療者によって行われ、それによって患者や家族が癒されるものであることを知るでしょう。
 
 著者の谷田憲俊さんは早くからがんの告知をしてこられた内科医です。日本ホスピス・在宅ケア研究会の編集長であり、アジア生命倫理学会副会長でもあります。現在は、山口大学医療環境学教授として、医学生だけでなく他学部生にも講義し、一般人を対象とした人権講座も担当しておられます。
 
 本書は、当センター編集発行の季刊誌「薬のチェックは命のチェック」に連載中の「みんなのやさしい生命倫理」からインフォームド・コンセントのシリーズを中心に生命倫理全般についてまとめたものです。
 
 学生にとっても、一般の方々にも、もちろん医療関係者にとっても、非常に理解しやすい「医学概論」になっています。21世紀のこれからの医療は患者と医療者の協同作業で進めていくもの。そのために大いに役立つ、なくてはならない一冊だと自信をもってお薦めします。

目次

1章 インフォームド・コンセントとは?

2章 ヒポクラテス医療、パターナリズムについて

3章 患者・医師関係と患者の権利

4章 インフォームド・コンセントの“同意”と“説明”

5章 臨床のインフォームド・コンセント

6章 判断から決定における課題

7章 自己決定自体が問題にされるとき

8章 インフォームド・コンセントのまとめ

9章 医の道徳と倫理の流れ

10章 インフォームド・コンセントの成り立ち

11章 日本の医療文化と臨床倫理
索引
インフォームド・コンセント その誤解・曲解・正解