医薬ビジランスセンター(NPOJIP)へようこそ

書評コーナー

薬のチェックは命のチェックで取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌10号より

がんはなぜ問題視されるのか

谷田憲俊著/プリメド社

がんはなぜ問題視されるのか

今や3人に1人は、がんで亡くなる時代になった。がんは遺伝子異常が元とわかり、先端医学がもてはやされる。さらには、遺伝子治療や分子標的薬も話題になる。一方では、がん検診は百害あって一利なしというし、分子標的薬も怪しげな雰囲気になっている。

早期診断・早期治療のかけ声は、がんは恐ろしいというステレオタイプを強化するという皮肉な結果になる。早期診断・早期治療が叫ばれるほどに、確実にがんの真実から遠ざかる。

本書は、今の医療に無関係とも思われるがんに対する先人の認識から始まり、がん遺伝子まで解説している。読者対象は、巷にあふれるがん情報には満足できないワンランク上質の情報を求めている人々である。がんをよく理解すれば、それは実に3人に1人が亡くなる普通の病気だという現実を理解することになると思う。


■B5判:213ページ/¥1,800(税別)

ご購入はこちらからできます