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書評コーナー

薬のチェックは命のチェックで取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌16号より

DES薬害−被害と救済の検証

水谷民雄/本の泉社

DES薬害−被害と救済の検証

DESとは、ジエチルスチルベストロールという合成女性ホルモン剤の略称です。流産・早産など妊娠中のトラブルに有効であるとの誤った思い込みのもとに、1930年代末から70年代はじめまで、多数の妊婦に用いられました。その影響は、がんや生殖障害なととして、子の世代、さらには孫の世代にまで及ぶことが分かってきています。

DES薬害は、欧米ではその被害の深刻さと規模の大きさから、特別な代表的薬害として認識されています。しかし、日本ではDES薬害のことはあまり知られておらず、綿密な調査を行い、その全体像をわかりやすくまとめた初めての本として、この本は出版されました。この本を読んだ一番の感想は、決して過去の物語でなく、現在の日本で起こっていること、起こりうることと多くの共通点があり、また、一度起こしてしまった薬害の救済に国や社会がいかに誠実に立ち向かうべきかが示されている点でも、本書の意義は大きいということです。(て)


■21×15㎝:319ページ/¥1,800 (税別)

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