医薬ビジランスセンター(NPOJIP)へようこそ

書評コーナー

薬のチェックは命のチェックで取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌18号より

患者は何でも知っている−EBM時代の医師と患者

J.A.ミュア・グレイ著、斉尾武郎監訳/中山書店

患者は何でも知っている−EBM時代の医師と患者

著者のミュア・グレイさんは、世界初のEBMセンターをオクスフォード大学に設立し、コクラン・センター設立にも関わったEBM推進の第一人者です。その彼が、「一般市民は医師と同格のパートナーでなければならない」という考えによって執筆したのが本書です。

医師がケアの責任者であり、患者は責任能力がなくケアを必要とする存在であるという考えは、誤りであり、基本的前提は、すべての患者にはしっかりとした責任能力がある、大多数の患者は現在よりもより多くの情報を求めているのだ、と言います。4部構成で、医学の歴史や医師の日常、賢い患者とは、21世紀の医療のあり方などを述べています。「臨床家と患者は同じ情報源を使うべきである」「患者の経験を評価し、行動すること」といった内容がふんだんにあり、本誌と同じ立場だなあ、と共感しながら読みました。専門用語の解説も丁寧です。苦言を呈するなら表紙絵は原著を生かすべきだったのでは? と思いますが、あくまで私見です。(さ)


■15㎝×21㎝(A5版):224ページ/¥1,800 (税別)

ご購入はこちらからできます