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書評コーナー

季刊誌33号より

悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実

悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実

Action on Smoking and Health編/切明義孝・津田敏秀・上野陽子訳/日経BP社
 ■15×21cm 276頁/価格2000円(税別)


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Action on Smoking and Health は1971年に英国王立内科専門医会によって設立された民間健康推進団体です。 1998年に発表された本書の原著「Tobacco Explained」はアメリカのタバコ訴訟で公表された内部文書を編集したものです。 世界各国で大きな話題を呼んだそうですが、日本ではマスメディアが無視したため、この訳書が日本で出版されるまで(2005年) 7年もかかっています。

適切な表現ではないかもしれませんが、読んでいて非常に面白い本です。 本の帯にある言葉“タバコなんざ、ガキや貧乏人に黒人、あとはバカに吸わせておけ”に代表されるタバコ会社の本音が 次々に明らかになります。日本では、タバコは嗜好品とされていますが、 「タバコは正しい使い方により身体に明らかな害を及ぼす唯一の合法的な商品」 (クリントン政権の公衆衛生局長官の言葉)は嗜好品とは言えないでしょう。 筑紫哲也という優れたジャーナリストの命を奪ったのもタバコでした。 この本を読み、本誌コラム「映画のなかのクスリ」で何度も紹介した映画「インサイダー」のDVDを見ていただければ、 タバコ会社の反社会性が理解できると思います(き)