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書評コーナー

季刊誌47号より

安心ひきこもりライフ

安心ひきこもりライフ

■勝山 実著/太田出版
 ■ISBN-10: 4778312589
 ■ISBN-13: 978-4778312589
 ■13cm x 19cm 227頁 価格1400円(税別)


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評者には非常に面白かったが、多くの人に受け入れられるかはわからない。「基礎編」「中級編」「歴史編」「上級編」「涅槃編」 の5章からなる。「ひきこもりのやり方がわからない、誰も教えてくれない、受験や就職活動にはたくさんのガイドブックがあるのに、 ひきこもりには何もない」ので、「ひきこもり初心者」向けの参考書だと、ひきこもりの先達である著者はいう。

「自由に怠けるのに10年。平日の昼間にTVゲームを楽しめるようになるまでに、10年はかかる」らしい。 高校(著者は暗黒高校と呼ぶ)で不登校⇒中退⇒大検合格⇒受験失敗…。国のひきこもり対策事業を「ひきこもり関ヶ原」と命名し、 「ひきこもりを働かせることを商売にして、国の助成金や寄付で生活してきたキナ臭い連中が東大安田講堂で挙兵」した 「対立する2大勢力の4大名(専門家)」と茶化す。が、「世界精神保健日本調査」への批判はまっとうなものだと思う。

本書を読んで気づかされたことがある。ひきこもりを「こちら側」「普通の社会」へ連れ出そうとすることを「支援」と呼んでいるが、 そのままでいいじゃないか、という視点があるということだ。著者の母(文中ではアマン)の声も聞きたい。(さ)