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書評コーナー

季刊誌49号より

ジフテリア予防接種禍事件 戦後史の闇と子どもたち

ジフテリア予防接種禍事件

■田井中 克人、和気 正芳共著 /かもがわ出版
 ■ISBN-10: 4780305691
 ■ISBN-13: 978-4780305692
 ■19.4 x 13.6 x 2.4 cm 254頁 価格2200円(税別)


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84人もの乳幼児が亡くなったという世界史上最悪の予防接種禍事件なのですがほとんど知られていません。 第二次大戦後のまだ米軍占領下にあった日本で起きた事件は、予防接種の創生期に起こったやむを得ない犠牲として処理され、 民事訴訟も起こらず、人々の記憶から消えていったのです。

当時、1歳だった著者たちには何の記憶もない。田井中氏は、亡くなった方の家をひとつひとつ訪ねて歩き、 和気氏は、GHQ文書など記録を読み解く努力を重ねました。次第に明らかになった事件の真相は、衝撃的なものでした。 国家検定が手抜きされていただけでなく、多くの不良品が続出する中で無理やり接種は実施されたのです。

この影には、米軍に擦り寄る官僚たちの派閥争いがあり、接種ワクチンの製造はなんと731部隊が行っていました。 京都で死者が出ているのに島根では接種を続け、被害が拡大。予防接種神話がまかり通っていたというしかない。 この事件が忘れさられた理由として、報道規制もあります。 ニュース映画のフィルムカットまで行われたことがわかりました。 この事件を闇に葬ったことが今日の様々な薬害の原点なのではないでしょうか。