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書評コーナー

季刊誌51号より

「森の長城」が日本を救う

「森の長城」が日本を救う

■宮脇 昭 著 /河出書房新社
 ■ISBN-10: 4309020976
 ■ISBN-13: 978-4309020976
 ■19.4 x 13.6 x 2.4 cm 198頁 価格1600円(税別)


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2011年3月11日に甚大な被害を受けた東北の海岸線を木々でつなぐことで、土地そのものをよみがえらせよう。 そして守ろう、というプロジェクトの本。緑色の扉ページをめくると、表紙と同じ青森、岩手、宮城、福島の地図がある。 海岸沿いに太く描かれた線は400Km近い長さ、そして、ここに植える樹木の種類、従来の防潮林がどういうものか、 本書で紹介する「森の防潮堤」の作り方などのページが続く。読者は少しずつ「森の長城」のイメージを膨らませることができると思う。

ガレキを焼いたり他所へ運ぶことを本書は批判している。その真意は、害をばら捲くな、ではない。 ガレキの90%以上は流木など泥にまみれた一見使いようのないものや、コンクリートやレンガなどだが、 実はこれらは生態学的にいえば、森を作るための最も豊かでかけがえのない地球資源なのだという。

植林に際して重要なことは、その土地の、潜在自然植生の主木を主にすること、これって、映画トトロに出てくるような、 鎮守の森に必ずある、大木のこと、ツナミでも生き残ったほど自然災害に強い、しぶとい樹木なのだという。 「無知は罪悪、知は力なり」と著者は書いている。(さ)