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 インフルエンザが流行する季節がやってきた。

 インフルエンザはA型、B型、C型、3種類のウイルスで起きる急性の感染症である。かぜと混同されやすいが、かぜとは違う。症状は発熱・鼻水・せきなどで同じだが、激しい型の流行時は、熱が39度以上になる▽頭痛や関節痛が強い▽感染力がきわめて強い。ふだん健康な人はまず問題ないが、高齢者や弱っている人、若くても解熱剤を多用し休まず無理したりすると、重症化しやすい。

 大流行を起こすのはA型だ。変化しやすいウイルスで、過去にない型に大きく変異すると世界的流行となる。その時には、人口の10〜30%がかかる。ただし、A型は症状が激しいが治りも早い。せき以外は2〜7日で治まる。C型は流行もしない軽いものだが、長引きやすい。B型は流行しない年とする年があり、症状もAとCの中間だ。いずれのウイルスも、潜伏期は1〜3日ほどだ。俗に「他人にうつすと治る」といわれるのは、症状がおさまったころ、感染した人が発症するからだ。

 インフルエンザウイルスは、冷たさと乾燥が大好きで高温が苦手。閉鎖した寒い空間で、くしゃみやせきにより空気感染する。だから、流行時は寒い所に長居はよくない。電車や教室でマスクをすることは、クシャミでウイルスをばらまかないためにも、空中のウイルスが鼻や口から入らないためにも役立つ。のども温まる。くず湯などでのどや体を温めるものもよい。

 最近、抗ウイルス剤が登場した。かかり始めに使えば、治るのに普通5〜6日かかるのが、1日ほど短くなる。だが、受診するのは半日仕事。私なら家で温かくして休養をとる方が得策と思う。抗ウイルス剤のうち、あるものは条件付きでA型の予防にも使用が認められている。しかし、数日も使うと耐性ウイルスができやすいし、流行が小さい場合には、予防できるのは20〜30人に1人にすぎない。

 予防・治療ともに大切なのは、寒さと過労を避け、バランスのとれた栄養と十分な睡眠をとることだ。受験生諸君も勉強は大切だが、無理は禁物。

 解熱剤にはたよらず、頭痛がひどくて眠れない場合にだけアセトアミノフェンを少量使う程度に。抗生物質も不要である。


薬の診察室 (朝日新聞家庭欄に2001年4月より連載)  医薬ビジランスセンター
                                  浜 六郎