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star01e.gif 偽陽性 一度の検査、一喜一憂せずにstar01e.gif

 

  

  

 検査で「偽陽性」というのは、実際は病気でないのに陽性に出る場合をいう。

 一方、ツベルクリン反応でよく聞く「疑陽性」は、陽性とも陰性とも判定できない保留の状態をいう。おなじ「ぎようせい」であるが、意味が少し違う。一般には「疑陽性」の方がなじみがあるが、病院の検査ではこの「偽陽性」や「偽陰性」の方が重要だ。

 肝臓癌の腫瘍(しゅよう)マーカーの一つであるAFPの場合だと、一応の目安として20ng/ml(血液 1ミリリットル当たり1 ナノグラム: ナノグラムは10億分の1 グラム) が検出されると陽性、それ未満を陰性としている。

 ただ「検査の感度」の項で述べたように肝硬変の場合など癌でない人でも陽性に出ることがあり、その比率は30%程度にのぼる。これは偽の陽性つまり偽陽性ということになる。

 同じ肝臓ガンの腫瘍マーカーでもPIVKAUの場合は、検査の感度を50〜60%程度に抑えてある。このためこの検査だけだと見逃しもあり、本当は肝臓癌があるのに「陰性」と判定される「偽陰性」が多くなる。

 その代わり肝硬変だけの人では陽性率はせいぜい3 〜4 %程度であるため、この検査で陽性の場合は癌である可能性が高く診断の確率は高まる。

 腫瘍マーカーに限らず、検査にはこのような偽陽性や偽陰性はある程度はつきものであることをよく理解し、一回の検査に一喜一憂することなく、また軽視することなく、検査を受けて欲しい。

(日経新聞1999年6月7日付改変)

 

 

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