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star01e.gif 血沈 早く下がるのは異常信号star01e.gif

 

  

  

 正式には赤血球沈降速度、略して赤沈または血沈という。患者から採取した血液に凝固防止用のクエン酸溶液を加え、細い管の中に入れて立てておくと、徐々に赤血球が沈んでくる。1時間目と2時間目に、上から何ミリ下がったか、目盛りを読む。

 男性では1時間で10mm未満、女性では15mm未満ならば正常。それよりも早く下がると、感染症の疑いがある。肺炎や腹膜炎、敗血症などの急性炎症、リウマチや結核などの慢性炎症の場合が多い。

 狭心症や心不全、喘息、胃潰瘍などでは血沈は大抵正常であるが、ひどい貧血、悪性腫瘍(がんなど)でも早く下がる。下がっていた血沈が戻れば、普通は病気が快方に向かっていると考えてよい。しかし、例外もあって、中には病気が悪化しているのに血沈が正常化することがある。播種性血管内凝固症候群(DIC)という病気では、体のどこかの細い血管の中で血液が固まりやすくなるために凝固に必要な成分を消費し、他の部位では逆に止血しにくくなる病気が起こっていることがある。

 血沈に似た血液検査にCRPというものがある。「C反応性蛋白」の略で、Cとは肺炎球菌という細菌の一部(C−多糖体というもの)である。CRPは、それに反応する蛋白という意味。つまり、γグロブリンなど炎症で増える蛋白である。

 以前は、−とか+、2+、3+など大ざっぱな表示のし方をしていたが、最近ではその濃度が正確に測定できるようになり、mg/dl で表示される。血液1dl中0.6mg 未満が正常値。ウイルス感染や悪性腫瘍、心筋梗塞、膠原病などではせいぜい10mg/dl まで、重症の細菌感染症やリウマチでは20mg/dl 程度まで、敗血症や肺炎では20〜30mg/dl に達することもある。赤沈はかえって正常に近くなるDICの時でも、CRPは正常にはならない。

                                                 (日経新聞1998年2月16日付け改変)

 

 

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