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ペースメーカー 心臓の異常リズムを調整 |
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体の動きに応じて、心臓のリズムの速さ(ペース)を調節している右心房の「洞」という部分は、自然に体に備わったペースメーカーだ。 そこから一定のリズム(ペース)で、心臓を興奮させる刺激がでている。走ると体には酸素がたくさん必要になるので、神経が興奮して、洞のペースを早め、安静の時にはあまり酸素は必要がないので、ゆっくりと刺激をすればよい。このように「洞」は心臓の速さ(ペース)を調整している体に自然に備わったペースメーカーだ。その先には、刺激を伝える神経にも似た特殊な心臓の筋肉がある。洞房結節、ヒス束、プルキンエ線維などの名前がつけられ刺激伝導路とよばれるものだ。単なる電気の配線と違うところは、それぞれが自動的に刺激を出す力を持っていることだ。上のペースメーカの働きが衰えた時には、下の部分が代わりになって動いてくれるが、下に行くほどその働き劣るので、なかなか正常どおりには動いてくれない。 洞の働きが悪くなった時に、「洞不全症候群」という。また、洞の働きは良くても、刺激を使える伝導路の働きは悪ければ、心臓は正常には動いてくれない。このような状態が、伝導異常あるいは心臓ブロック、伝導ブロックという不整脈の一種だ。 24時間連続して記録するホルター心電図で、「洞不全症候群」や心臓ブロックのために、心臓が3秒以上止まってしまったような場合や、実際に意識が途切れるような発作(これをアダムスストークス症候群という」がある人、あるいは脈が遅くなりすぎてそのために心不全を起こす人では、突然死の危険性や、薬では心不全をよくすることができないために、体に自然に備わったペースメーカーの代わりをする人工的なペースメーカを入れなければならない。 緊急の場合には、一時的な人工ペースメーカーを入れておき、最終的には、体の中(普通は鎖骨の下の胸の皮下)に埋め込んでおく。技術の進歩で、どんどん器械は小さくなり、性能もよくなってきた。ただし、人にもよるが、電池(人工ペースメーカーの本体)を数年から10年に一度は交換する必要はある。 日経新聞1999年3月8日付改編 |
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