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多臓器不全(MOF)早期の診断・治療が大切 |
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生命を維持するために必須の多くの臓器の機能が全うできない状態を言う。生命を維持するために必須の臓器とは、腎臓、呼吸器、肝臓、血液系(とくに血小板、凝固系)、心血管系、消化器、神経系の7つの臓器やシステムである。 原因はいろいろだが、主に敗血症など重症の感染症、広範囲に挫滅を伴う重度の外傷や熱傷(やけど)、重い膵炎、重症のショックなどである。 重い感染症では、細菌そのものが血液中に入って全身に回る「菌血症」の場合はもちろんだが、血液中に入っていかなくても、細菌から出る毒素やそれに反応して出てくるインターフェロンやインターロイキン、腫瘍壊死因子といったいわゆる「サイトカイン」類が全身の反応を引き起こす。これが敗血症だ。敗血症が進むといろんな臓器を攻撃して多臓器不全となる。 挫滅や火傷がひどいと、傷害を修復するために体が反応して白血球を増やし、感染した時と同じような全身の反応を引き起こす。 重症のショックでは血圧が下がり過ぎて臓器が血液不足、酸素不足となる。このため細胞が壊れて各臓器の機能維持が不能になる。 このようにして、生じた7つの臓器やシステムのうち、2つ以上が同時にあるいは短時間のうちに相次いで機能不全に陥った場合を多臓器不全という。 多臓器不全が生じてしまったら、ほとんど治癒することは望めないので、多臓器不全に陥る前のできるだけ早い段階で原因を取り除くための治療を開始しなければならない。 とくに敗血症は、血液中に菌が見つかるのを待ってから原因菌に対する治療をしたのでは遅いことが多いので、早期診断と適切な早期治療が重要である。 日経新聞1999年8月30日付改編 |
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