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star01e.gif点滴 薬剤の注入速度も調節star01e.gif

 

  

  

  点滴による静脈注射(点滴静注あるいは単に点滴という)は、病気で薬剤や栄養分を口から補給できず、注射するには量が多い場合などに利用する。体内に薬剤を入れる速度を調節する場合にも必要である。筋肉を傷めるとよくない新生児や小児への注射、早く効かせたい時にも静脈注射をする。微量で効果がある薬をゆっくりと注入したい場合などにも点滴をする。

 点滴瓶に針を刺してチューブ内に液を通し、途中で液の滴下を確かめる容器(エアチャンバー)で滴下数を確認しながら点滴セットの先端の注射針から静脈内に注入する。大人で1〜2時間の点滴には、金属の針を用いるが、子供には、蝶々のような翼がついた針(翼状針)を用いる。時間が長くなる場合や、手足を動かして液がもれるおそれがある場合には、テフロン製のチューブを静脈内に留置して点滴をする。

 点滴の速度はチューブの途中についている調節器を使って、1分間の滴数を決める。点滴セットは一滴の大きさで2種類に分かれる。大きいものは、15滴で1ml、小さいものは60滴で1mlである。大きいのは、大人に対して500 mlを1〜2時間で点滴する場合などに使用するが、小さいのは、小児用かあるいは大人でも心不全や不整脈などで微量の薬剤をゆっくりと一定の速度で注入する必要がある場合や、24時間持続して点滴する必要がある場合などに用いる。

 滴数はできるだけ一定に保たれるようになっているが、患者の姿勢や液の残量によっても影響される。厳密に注入速度を守る必要がある時は自動注入ポンプを使う。

 点滴終了時にチューブ内の水面が下がると、空気が静脈内に入ってしまうのではないかと心配する人がいる。しかし、静脈の圧力があるので、液面は心臓よりも必ず20センチメートル程度上で止まり、空気が静脈の中に入ることはない。

                                                 (日経新聞1998年2月9日付け改変)

 

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