(2007.3.29号)

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No81

突然死は少なくとも38人
10歳未満15人、成人23人
10歳代のみ原則禁止ではだめだ!!

乳幼児、ハイリスク者も含めて禁止しなければ被害は防止できない

これまでにも、タミフル服用後の突然死の多さについて述べてきましたが、タミフル服用後の突然死と異常行動・事故死例に関する年齢別の見やすい表を作りましたので、ご覧ください(なお3月29日、速報No80の一部データの誤りを訂正したのでご注意ください)。

表 タミフル服用後の死亡例(年齢別・死にいたる病態別)
NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)集計
死に至る病態 未成年 成人(≧20歳) 合計
<10歳 *a 10歳代
突然死 厚生労働省発表       *c 12   20 32
「薬のチェック」独自把握  *d 3   3 6
合計 15   23 38
異常行動・事故死   5 3 8
その他 2 *b   15 17
死亡 合計 17 5 41 63
*a:10歳未満突然死のうち13人は5歳以下、例外的2児はいずれもハイリスク(6歳児はダウン症、9歳児は脳性麻痺)児であった。解熱剤脳症(*b参照)を除く死亡児合計16人中4人(25%)がハイリスク児(他にダウン症の8か月児1人、アーノルドキアリ奇形と水頭症を有する2歳児1人)であり、ハイリスク児がより危険である(一般人口中のハイリスク児の比率に比べて極めて高率)。
*b:1例は明らかに非ステロイド抗炎症剤(ジクロフェナク)により誘発された脳症・多臓器不全の例、1例は8か月、ダウン症既往あり、タミフル服用中の経過不明、2か月後肺炎・呼吸不全で死亡
*c: 参考資料4-2、4-3
*d:NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)の独自の調査による 

異常行動・事故死8人に対して、突然死は確認できているだけで38人です。これとて氷山の一角ですから、膨大な被害者がいる可能性があります。

突然死は5歳以下が13人、6歳と9歳がそれぞれ1人でした。乳幼児は合計15人とこれだけで異常行動・事故死例を上回っています。また成人(合計23人)にも多発しています。成人と小児で合計38人です。

したがって、全年齢に禁止の措置をとらないかぎり、犠牲者の減少はわずかにすぎず、インフルエンザそのものによる被害よりもはるかに多くの犠牲者が発生することになります。

ハイリスク者こそ危険

なお、10歳未満突然死のうち13人は5歳以下ですが、例外的2児はいずれもハイリスク児でした。6歳児はダウン症があり、9歳児は脳性麻痺と発達障害のある児でした。

アーノルドキアリ奇形と水頭症を有する2歳児の突然死もあわせると、突然死15人中3人(20%)がハイリスク児でした。また、ダウン症の8か月児1人は、厚生労働省の公表データによると、タミフル服用中の経過は不明ですが、2か月後肺炎・呼吸不全で死亡しました。この例で併用されていたジアゼパムやフェノバルビタールなどの抗けいれん剤は、もともと併用していたものか、タミフル服用後に何か起きて使用したものかは不明です。しかし、もともと使用していたのならタミフル服用で呼吸抑制をより強く起しますし、タミフル服用後に何か起きて使用したのであれば、その「何か」とは、呼吸抑制・低酸素性脳症によるけいれんであった可能性が否定できません。

3歳の1例は、明らかに非ステロイド抗炎症剤(ジクロフェナク)により誘発された脳症・多臓器不全の例で、脳症発症にタミフルは無関係ですからこれを除くと、死亡児合計16人中4人(25%)がハイリスク児ということになります。

一般人口中のハイリスク児の比率に比べて極めて高率ですから、ハイリスク児ほどタミフル服用による死亡の危険が高いといえます。


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