(2007.12.24号)速報No100に重要な正誤記事があります、参照ください!

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No97

タミフルの害:発現機序がほぼ解明
主要な2タイプとその発症機序の考察

TIP誌最新号(11月号12月号)より

NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック) 代表 浜 六郎

2007年4月4日にタミフルと突然死や異常行動との因果関係見直しのために作られた厚生労働省(厚労省)の基礎および臨床作業班の検討結果がマスメディアに提供され報道されてきた。しかし、報じられたこれら作業班の中間結果は、いずれも、タミフルと突然死や異常行動との因果関係を示す知見は得られなかったというものである。

ところが、公表された情報を公表されている範囲で詳細に検討するかぎり、むしろ、因果関係を支持する結果がいくつか得られている。

また、厚生労働省が開示した副作用報告例の分析で、タミフルによる固有の害は2種類あると考えられ、それぞれの発症機序を解明するための知見が揃ってきた。

そこで、タミフルによる固有の害の2種類(短期突発型反応と遅発・遷延型反応)についてTIP誌2007年11月号で述べ、さらには、それぞれの発症機序を12月号で詳細に述べた。

短期突発型反応の典型例は、タミフルを1〜2回服用後に生じる中枢抑制による呼吸停止および異常行動など精神神経症状であり、睡眠中の突然死や呼吸異常からの心肺停止、異常行動からの事故死につながりうる。

遅発・遷延型反応の典型例はタミフルを5日間服用終了前後から生じる多彩な臓器障害反応であり、典型例は肺炎や敗血症から多臓器不全に至る例、糖尿病や出血、さらには遅発性に精神神経症状が生じて長期間遷延するものが含まれる。

12月号では、これらヒトで生じている短期突発型反応が中枢抑制反応であり、動物実験における症状や所見と極めて類似していること、したがって動物実験で再現されていることを述べた。

さらに、ここ1年余りで集積してきた新たな知見、特にタミフルの脳からの排出トランスポーターとしてのP-糖タンパクの役割と、活性体タミフルがヒトノイラミニダーゼを阻害しうるとの知見を中心に、短期突発型反応および遅発・遷延型反応の発現機序について総合的に考察を加えた。

なお、2007年12月に開催された基礎作業班(10日)および、臨床作業班(16日)において発表された内容には、科学的に重大な誤りがあるため、別稿で批判した(速報No98参照)。


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