(2009.8.22号)

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No127

2009年型インフルエンザで
タミフルによる害の兆候が続々と
日本で2人目の死亡者も透析をしていた
3人目は、非ステロイド解熱剤の使用につき検証が必要
メキシコ(入院重症者)でも、米国妊婦でも死亡の危険が増大

NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)  浜 六郎

日本で2人目の死亡者も透析をしていた

沖縄県で2009A/H1N1(いわゆる「新型」)インフルエンザに感染した男性に引き続き、 神戸市で2人目の死亡者 が報道されましたが、この人も透析中でした。 厚生労働省の発表によると、この人は70歳代の男性。肺気腫(肺から空気が出て行きにくいために呼吸困難になる病気)と 糖尿病があり、糖尿病による腎不全のために透析を受けていた。 8月16日に38℃の発熱、息苦しさがあり、 17日に医療機関に受診し、検査でインフルエンザは陰性。 午後1時ころ状態不良のため紹介され別の病院に入院。 急性気管支炎による肺気腫の悪化と診断され、 迅速検査でA型インフルエンザ陽性であったために、 タミフルや抗生物質が使用された。 18日午前6時20分、容態急変にて死亡。 死因は急性気管支炎による肺気腫の悪化とされた。 そして市で精密検査(PCR)をしたところ「新型インフルエンザ」が陽性との判定がでたとのことである。

この方の場合は、タミフル服用からおそらく12時間前後で死亡しています。そして、容態が急変したのが午前6時20分とされていますが、詳細は不明です。急変に気づいたのが午前6時20分ということなら、それより前に睡眠中に死亡していた可能性はないのでしょうか気になります。いずれにしても、睡眠中に呼吸が抑制されて死亡したという可能性は否定できないのではないかと思われます。

タミフルにより呼吸が抑制され突然死した可能性を考慮して、この点での徹底的な調査が必要でしょう。

この人は、肺気腫、糖尿病、透析中というハイリスクの要因を3つ持っていたのですが、それにしてもA型インフルエンザと確認されて24時間以内での死亡というのは、インフルエンザだけによる死亡とするには余りにも早いのではないかと思われます。タミフルが関与していなかったかどうか、かなり強く疑われます。

3人目は、非ステロイド解熱剤が使用されていなかったか検証を

3人目は、名古屋市の80歳代の女性です。 もともと多発性骨髄腫(骨髄のがん)と心不全があった方です。 厚生労働省の発表によれば、8月13日39.5℃の発熱で入院。 15日咳がひどく状態がわるいので、個室に移る。 17日簡易検査でA型インフルエンザ陽性。翌日精密検査(PCR)により 「新型」と判明。酸素吸入など実施したが、 19日深夜1時32分死亡。死因は重症肺炎とされた。

この方の場合は、タミフルは使われなかったようですが、多発性骨髄腫ということですから、 この病気の一般的な治療として、ステロイド剤や抗がん剤が使用されていた可能性があります。 そこへ、39.5℃の発熱があったということですから、何らかの解熱剤が使われたでしょう。 非ステロイド解熱剤が使われたなら、80歳を超えた高齢者ではしばしば、 尿が出なくなることがあります。もともと心不全もあったのですから、 2〜3日のうちに心不全が悪化して呼吸困難で死亡したという可能性があります。

そうした経過がなかったのか、十分な検証が必要です。

メキシコ(入院重症者)や米国妊婦でも死亡の危険が増大

は速報128号(近日中)に掲載します。


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