2005年度事業報告書

特定非営利活動法人 医薬ビジランスセンター

  1. 事業期間

    2005年1月1日~2005年12月31日

  2. 事業の成果

    1. 医薬品情報誌、ガイドライン等出版物の編集・発行

      1. 「薬のチェックは命のチェック」の編集発行

        「薬のチェックは命のチェック」第17号(がんの予防)、 第18号(がん治療の壁)、第19号(乳がん)、第20号(前立腺がん)を発行した。

      2. EBM治療ガイドラインシリーズの翻訳・発行

        ISDB所属のオーストラリアの「治療ガイドライン委員会」が編集発行するEBMに則った 治療ガイドラインシリーズを翻訳・発行している。2005年度は「神経疾患治療ガイドライン」を 発行予定であったが、継続事業となっている。

      3. 「暴走するくすり? 抗うつ剤と善意の陰謀」の翻訳・発行

        英国の市民団体ソーシャル・オーディット代表であるチャールズ・メダワー氏の 著作を医薬品・治療研究会と共同出版した。

    2. 医薬品使用の実際面への具体的な成果

      1. 臨床試験の公的管理と被験者保護法の必要性

        「速やかに被験者保護法を制定し、治験はもとより、すべての人を対象とする研究を対象とし、 法に基づき管理・監視する制度を確立すべき」との趣旨の意見書を医薬品・治療研究会とともに、厚生労働大臣、 厚生労働省医薬食品局長、治験のあり方に関する検討会・未承認薬使用問題検討会議委員、厚生労働省保険局長、 中医協の在り方に関する有識者会議・先進医療専門家会議委員あてに送付し、治験のあり方に関する検討会当において 実質的審議に利用された。

      2. イレッサ(ゲフィチニブ)

        肺がん用経口抗がん剤の危険性を2003年から指摘していたが、被害者の遺族がアストラゼネカ社と 国を相手取り提訴した。2004年開催の第4回医薬ビジランスセミナーに、提訴した被害者遺族を招き問題点を検討し、 同年12月には、イレッサは生存を延長せず無効であることが判明し、当初からの医薬ビジランスセンターとしての取り組みが 適切であったことが示された。2005年春に計4回開催されたゲフィチニブ検討会を傍聴し、問題点を指摘するとともに、 新規患者には使用すべきでないとの趣旨の提言をまとめ、厚生労働に提出した(3月)。 FDA(米国食品医薬品局)が同様の趣旨の決定を行った(6月)。

      3. フッ素洗口

        WHOの必須薬からフッ素化合物を削除すべきかどうかについて意見を求められ、ISDBのレビューとして WHOに対して「削除すべき」との報告書を書いた。2005年に入っても、幼稚園や小学校などでの集団フッ素洗口に 疑問や不安をいだく各地の養護教員や保護者に講演を依頼された(2006年1月にも秋田県でフッ素是非を 問う討論会が開催され、講師として出席した。

      4. その他

        「暴走するクスリ?抗うつ剤と善意の陰謀」の発行、「薬のチェックは命のチェック」のNPOJIPの提言での発言、 その他各種講演において、医薬品行政の問題点を指摘した。

  3. 事業の実施状況

    1. 特定非営利活動に係る事業

      1. 事業名 「暴走するクスリ? 抗うつ剤と善意の陰謀」翻訳・編集・発行

        対象者 一般および医療専門家

      2. 事業名 セミナー、研修会、研究会等の開催

        1. 医薬ビジランス研究会
          実施場所
          医薬ビジランスセンター事務所
          実施時期
          ほぼ2か月に1回(2/27,4/17,6/10,7/10,8/20,10/10,12/10の7回)
          対象者
          正会員および賛助会員その他希望者
          参加者
          15人~20人(1回当たり)
      3. 事業名 医療消費者および医療従事者向けの医薬品に関する書籍発行

        1. 季刊誌「薬のチェックは命のチェック」編集・発行
          1、4、7、10月の各20日
          対象者
          一般市民、患者とその家族および医療関係者など
          1. 第17号 特集「がんの予防」
          2. 第18号 特集「がん治療の壁」
          3. 第19号 特集「乳がん」
          4. 第20号 特集「前立腺がん」

      4. 事業名 インターネットウェブサイトによる情報提供

        2000年8月にインターネットウェブサイトを開設し、これを通じて情報提供している。 2005年の1日平均アクセス数は約113件(昨年実績105)。薬剤による副作用の記事が新聞に載るなど、 薬に関する問題が表面化したときはアクセスが増える。昨年は11月のタミフル報道以降増えている。 2006年2月26日午前10時現在でアクセス件数は191,927(昨年同期149,321)。

        ホームページのリニューアルを目指して、2005年度後期の大阪市の経営コンサルタント派遣事業に応募。 8月から11月まで計8回の打ち合わせ等を経て、リニューアル準備中。2006年4月に刷新予定。

      5. 事業名 医薬品に関する情報の収集、調査、研究

        「薬のチェックは命のチェック」の特集テーマおよび、Ⅱ.事業の成果の 2.医薬品使用の実際面への具体的な成果 の項に上げたテーマに応じた情報を収集、調査し、分析した。テーマは、タミフル、イレッサ、 乳がん治療剤、前立腺がん治療剤などである。

        また、ISDB総会がオーストラリアのメルボルンで開催され、理事長の浜と編集長の坂口が出席し、 浜はワークショップの議長を務め、「医薬品評価の批判的吟味」および「医薬品情報のキャンペーン活動」について発表し、 坂口は医療専門家と市民との橋渡し役としての情報誌の編集・発行について発表した。 「薬のチェックは命のチェック」の英語表記は「Kusuri-no-check」である。

      6. 事業名 医薬品使用に関する情報の収集、調査、研究

        上記ⅴや下記ⅶと重複、関連するので省略。

      7. 事業名 医薬品行政に関する情報の収集、調査、研究

        Ⅱ.事業の成果の 2.医薬品使用の実際面への具体的な成果で挙げたとおりであるので、項目のみ記す。

        1. 臨床試験の公的管理と被験者保護法の必要性
        2. イレッサ(ゲフィチニブ)
        3. その他 「暴走するクスリ?抗うつ剤と善意の陰謀」の発行、「薬のチェックは命のチェック」の NPOJIP の提言での発言、その他各種講演において、医薬品行政の問題点を指摘した。

      8. 事業名 医薬品、医薬品使用等に関する相談業務等
        実施場所
        医薬ビジランスセンター事務所
        内容
        不特定多数の方々からの電話・ファックス・手紙・電子メール等による相談(原則無料)