2007年1月1日~2007年12月31日
「薬のチェックは命のチェック」第25号:高血圧治療は薬にたよるな、 第26号:脳卒中、第27号:認知症とせん妄、第28号:骨粗しょう症を発行した。
タミフルによる突然死や異常行動の危険性を当センター(薬のチェック)は2005年2月から指摘してきたが、 人々の関心を喚起するまでには至らなかった。2007年2月に連続してタミフルを服用した中学生の飛び降り事故(死亡)があり、 大きな社会的関心を呼んだ。当センター(薬のチェック)は薬害タミフル脳症被害者の会と連携してタミフルの全面的使用禁止を 求めていたが、最終的には、承認取り消し、回収を求める要望書を厚生労働省に提出した。
こうした活動の結果、2007年3月、厚生労働省は、10歳代への使用を原則禁止とし、さらには、 突然死も含めて因果関係の見直しを厚生労働大臣が約束するに至った。その後、臨床、並びに基礎の作業部会が発足した。 同年5月20日には日本薬剤疫学会等によるシンポジウムが開催され、当センターの浜六郎理事長がシンポジストとして発言。 6月16日には厚労省の安全対策調査会で意見を述べた。
薬害タミフル脳症被害者の会と連携して、たびたび要望書を提出した。 ますます因果関係は固まりつつあり、害反応(副作用)の起きる仕組みがほぼ解明されるに至っていると考える。
肺がん用経口抗がん剤の危険性を2002年から指摘し、アストラゼネカ社と国を相手とする被害者遺族の 訴訟を医学的側面から支援し、浜六郎理事長が西日本訴訟(2007年3月6日主尋問、5月11日反対尋問)、 東日本訴訟(2007年7月18日主尋問、9月12日反対尋問)に証人として出廷した。別府宏圀副理事長は、 東日本訴訟(2007年2月7日主尋問、4月25日反対尋問)に証人として出廷した。
タミフル関連で、厚労省研究班の班員と製薬企業との利益相反問題があることを提起し、 それを契機に研究者の利益相反問題に関する対策と規制を国へ要望した。
2000年8月にインターネットウェブサイトを開設し、これを通じて情報提供している。 2007年の1日平均アクセス数は約194件(昨年実績113)。薬剤による副作用の記事が新聞に載るなど、 薬に関する問題が表面化したときはアクセスが増える。昨年は11月のタミフル報道以降増えている。 2007年2月23日午後1時現在でアクセス件数は320,939(昨年同期250,016)。
「薬のチェックは命のチェック」の特集テーマおよび、Ⅱ.事業の成果の 2.医薬品使用の実際面への具体的な 成果の項に上げたテーマに応じた情報を収集、調査し、分析した。テーマは、タミフル、イレッサ、 脳卒中(特にアルテプラーゼ、ラジカット)、認知症とせん妄(アリセプトなど)、骨粗鬆症(ビスフォスフォネート、 女性ホルモン)、花粉症とアレルギー性鼻炎(抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤など)である。
上記ⅳや下記ⅵと重複、関連するので省略。
個別の薬剤については、Ⅱ.事業の成果の 2.医薬品使用の実際面への具体的な成果で挙げたとおりであるので、 項目のみ記す。
なお、医薬品行政に関しては、タミフルと異常行動に関する調査研究班の研究責任者であった 横田俊平教授(横浜市立大学小児科教授)に対する中外製薬からの多額の寄付金(奨学寄附金)に端を発して研究者の 利益相反問題が社会的関心をよび、規制方法の検討が行われるにいたった。この検討過程で、 奨学寄附金が規制の対象から外されそうになったため、NPO 法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)と 薬害タミフル脳症被害者の会では、薬害オンブズパースン会議と協力して、意見書を提出し、 規制対象に寄附金を復活させることができた。