2008年1月1日~2008年12月31日
「薬のチェックは命のチェック」第29号:花粉症とアレルギー性鼻炎、第30号:喘息、第31号:アトピー性皮膚炎、 第32号:頭痛とくすり、を発行した。31号「アトピー性皮膚炎」は、朝日新聞と読売新聞に広告をし、 非常に反響が大きかった。
今期は、「インフォームド・コンセント」(谷田憲俊著)を1000部増刷し、 新たに「くすりで脳症にならないために タミフル脳症を中心に」(浜六郎著)を2500部発行した。
タミフルによる突然死や異常行動の危険性を当センター(薬のチェック)は2005年2月から指摘し、 当センター(薬のチェック)は薬害タミフル脳症被害者の会と連携してタミフルの全面的使用禁止を求め、 最終的には、承認取り消し、回収を求める要望書を厚生労働省に提出した。また、厚生労働省の研究班や、 安全対策調査会の作業部会の「因果関係を示唆する所見は得られなかった」 「安全」とする報告に対してそのつど鋭く批判してきた。
こうした活動の結果、2008年8月には一時「10歳代への原則禁止解禁」が予定されていたが、延期となり、 同年12月4日には日本臨床薬理学会でシンポジウムがもたれ、研究班(廣田班)の解析方法は間違いとの コンセンサスが得られるまでになった。
薬害タミフル脳症被害者の会と連携して、たびたび要望書を提出した。ますます因果関係は固まりつつあり、 害反応(副作用)の起きる仕組みがほぼ解明されるに至っていると考える。
肺がん用経口抗がん剤の危険性を2002年から指摘し、アストラゼネカ社と国を相手とする 被害者遺族の訴訟を医学的側面から支援してきた。2008年6月、メーカーはようやく症例報告カードを提出した。 これは被害者とその支援者がメーカーに提出を求め、裁判の過程でも求めていたものである。 カードの有害事象死亡例などの分析作業を行ったところ、初期の頃から多数の劇症型肺傷害例があったことを確認でき、 アストラゼネカ社と国の責任は初期まで遡ることができるようになってきた。
第31号「アトピー性皮膚炎」特集で、発症機序として提唱した内因性アドレナリン/ステロイド 離脱仮説は、頭痛の成因としても共通している可能性が強くなってきた。この機序の解明は、薬剤に頼らない 病気の予防に重要な役割をもっていると期待できるのではないか。今後も、そうした観点から、 できるだけ薬剤に頼らない病気の予防、治療方法の解明と普及に取り組んでいくことの重要性が認識された。
2000年8月にインターネットウェブサイトを開設し、これを通じて情報提供している。 2008年の1日平均アクセス数は約125件(昨年実績194、一昨年実績113)。薬に関する問題が表面化したときはアクセスが増える。 昨年は7月にアトピー性皮膚炎の新聞広告をしたことや11月の日本薬剤疫学会でのインフルエンザシンポジウムがあったが、 タミフルによる異常言動などがマスメディアで大きく取り上げられた昨年には及ばない。 2009年2月10日午前10時現在でアクセス件数は365,498件(昨年ほぼ同期320,939)。
「薬のチェックは命のチェック」の特集テーマおよび、事業の成果の2.医薬品使用の実際面への 具体的な成果の項に上げたテーマに応じた情報を収集、調査し、分析した。検討した薬剤は、タミフル、イレッサ、 ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、鎮痛剤などである。
上記ⅳや下記ⅵと重複、関連するので省略。
個別の薬剤については、Ⅱ.事業の成果の 2.医薬品使用の実際面への具体的な成果で挙げたとおりであるので、 項目のみ記す。