一歩前進したインフルエンザへの NSAIDs解熱剤使用制限 ・・・「NSAIDs禁忌、アセトアミノフェンのみ」の徹底を 医薬ビジランスセンターNPOJIP |
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脳症とNSAIDs解熱剤との関連がまた確認された インフルエンザそのものに禁忌とすべき メーカーはジクロフェナクが「インフルエンザ脳炎・脳症の発症因子ではない」と因果関係を否定したが、森島班の調査では「脳炎・脳症が発症してから」でなく「脳炎・脳症発症前から」の「解熱剤」が調査されており、データはNSAIDsとインフルエンザ脳炎・脳症の発症から死亡までの危険性との関連を示している。発症因子としての関与を否定できるような調査ではない。だれが見ても「インフルエンザ脳炎・脳症患者になってしまった患者に対する禁忌」では不十分だ。 「使用するならアセトアミノフェン」は一歩前進 しかし、今回の小児科学会理事会が示した「何らかの関与」の可能性、「インフルエンザ治療に際して非ステロイド系消炎剤の使用は慎重に」「インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンがよい」との見解は公的機関が初めて示した、私たちのこれまでの主張に近づく一歩前進と受け止める。 全ての医師は小児科学会の勧告に従うべき (1) インフルエンザに対して非ステロイド抗炎症剤NSAIDs解熱剤を使用しないこと(2) インフルエンザで解熱剤を使用せざるを得ない場合には、アセトアミノフェンを選択すること、を徹底すべきである(詳しくはTIP誌2000年11月号参照)
仮説:日本のインフルエンザ脳症の主因 NSAIDs系解熱剤 NPO 医薬ビジランスセンター1) 医薬品・治療研究会 2) 府立羽曳野病院
3) 【目的】 1970年代まで原因不明であったライ症候群とサリチル酸系解熱剤との関連が1980年代になって症例対照研究で指摘され, 公的に警告が発せられ, アメリカをはじめ世界各国でサリチル酸剤の使用が激減し, それとともにライ症候群の発生は激減した.しかし,日本ではライ症候群をはじめインフルエンザ関連脳炎や脳症(以下ライ症候群/脳症と略)の発生は依然として毎年 100-200人の規模で続いており,原因が未だに不明とされている. これまでの知見を総合レビューし,欧米でライ症候群の危険因子とされたアスピリンに代わる日本における主要な危険因子として,非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)系解熱剤を考えるに至った根拠について考察し,今後日本において,この仮説を検証するための薬剤疫学的研究の方法についても考察することを目的とする. 【方法】 これまでのライ症候群/脳症の疫学調査研究論文,ライ症候群のサリチル酸製剤による発症機序に関する内外の文献,厚生省のライ症候群関連研究班の報告書,大阪府医師会勤務医部会の原因不明の脳症に関する報告書,サイトカインとライ症候群/脳症に関する内外の論文,日本における解熱剤使用の実態調査に関する報告などを総合的に検討した. <第1仮説> 日本のライ症候群/脳症の主因は,NSAIDs系解熱剤である <第2仮説> 死亡に到らない脳症(後遺症を含む)の主要な原因は痙攣誘発する可能性のある薬剤(テオフィリン、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤等)が関与している. 【仮説を設定した根拠】要点をまとめると以下のようになる. 【疫学的証拠−1】 [1] 欧米ではライ症候群の主因はアスピリンであることが多くの症例対照研究で確認され,両者の関連は確立され,使用が制限された結果ライ症候群は激減した. [2] 日本ではアスピリンが解熱剤としてほとんど使用されなくなった後もライ症候群をはじめライ症候群/脳症が毎年
100〜200 人発生している. 【動物感染実験でのNSAIDs/サリチル酸の影響に関する証拠】 [4] 動物実験(爬虫類,ウサギ)では,ウイルスや細菌を感染させ,非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)で解熱すると,解熱傾向を認めるが,死亡率は明瞭に増加する.また解熱した動物の方が,死亡率が高いことが判明している. 【病態生理学的証拠】 [6] ライ症候群/急性脳症の発症および重症化に対して,サイトカインの関与がほぼ確実視されている(細胞傷害性サイトカインは、脳炎/脳症群は著明高率(96%:n=23)だが熱性痙攣のみでは低率であった(0%n=20)) 【ヒト臨床試験に関する根拠】 [9] ヒトの臨床試験でも,解熱剤を使用した方がウイルス疾患の治癒(最終的な解熱時期)が遅くなったとの結果が散見される. 【疫学的証拠−2】 [11]メフェナム酸を解熱剤として使用している日本および台湾において,急性壊死性脳症の報告が多い.
#:ライS=ライ症候群 ★a:p=0.0096 ★b:p=0.0008 ★c:p=0.0007 【生存脳症と痙攣誘発性薬剤との関連を示唆する証拠】 [13] 死亡脳症でも、また特に生存脳症ではNSAIDsを使用していない患者が多数いる[14] NSAIDsを使用していない患者の中にはテオフィリン、抗ヒスタミン剤(いわゆる抗アレルギー剤に分類されている抗ヒスタミン剤を含む)を使用中に痙攣重積状態となり、低酸素性脳症となり、後遺症を生じたは考えられる例が少なくない。 【確認のための疫学調査の方法とその必要性】 欧米で症例対照研究によってライ症候群とアスピリンとの関連が何度も確認されたように, 日本にでライ症候群/脳症に関する症例対照研究を実施すれば, ジクロフェナクやメフェナム酸との関連が確認される可能性は極めて強い.調査方法に関する留意点は: (1)日本におけるライ症候群/脳症の主因の可能性があるNSAIDsを解熱剤として使用することを,
特に小児では早急に中止すること. 【確認のための疫学調査で留意すべきポイント】 (1)医師の診療録調査を元に実施すべきである(日本での解熱剤の使用は大部分医師の処方によるため医師の診療録調査が必須である) |
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