イレッサ錠(ゲフィチニブ;アストラゼネカ社)による肺傷害を主とする重篤な害反応による死亡例の多発について、私たちは重視し、種々の場で取り上げてきました。
しかし、厚生労働省の対策は遅々として進まない中、被害の数は増加の一途をたどっており、有害性に関する新たな事実が次々に明らかになってきています。承認前に判明していた有害性を示す動物実験結果を審査当局に提出しなかっただけでなく、研究者による研究結果の発表が妨害されていたことや、医師により最も重篤なランク(グレード4)として報告されていたイレッサによる副作用報告の重症度ランクが、厚労省の記録では低くなっているなど、途中で操作が加えられたことが明らかになってきました。
また、日本の臨床試験における有害事象の頻度、有害事象による死亡、副作用による死亡の頻度が、外国での臨床試験における頻度と比較してあまりにも低いことにこれまで注目していたところ、市販後の副作用死亡率はすでに臨床試験時の4倍もの高頻度となってきました。
ソリブジン事件やピモベンダンなど、これまでの臨床試験において有害事象の重症度や試験物質との関連を軽く分類するのが、日本の臨床試験の一般的な方法でした。この傾向は、最近のピオグリタゾン(アクトス)の臨床試験でも同様でした。
上記と同様のことが、日本におけるイレッサの臨床試験においても繰り返されているとすれば、外国に比較して低い有害事象死亡率、副作用死亡率は、すべての生データが開示され、再検討されるまでは信頼できないと考えます。
この点は、当初から指摘してきましたが、今まさしく、このことが証明されつつあるといえます。
この問題の重大性に鑑み、イレッサの審査過程が第三者にも検証可能となるよう、本要望書とは別に、重点的項目について公開質問書を提出しましたが、回答を待つ間にも、多数の被害者が生まれることが憂慮されます。
一日も早く、イレッサ(ゲフィチニブ)の販売および使用を(臨床試験による使用も含め)中止されますよう、要望いたします。