著者:浜 六郎
本書の概要 薬害を語るためには、当然代表的な薬害について知り、その背景にあるものを考える必要がある。サリドマイドによる四肢奇形、キノホルムによるスモンなどのやや古い薬害、そして最近の薬害エイズなどは代表的ものであり、薬害問題を考えるうえで重要だ。あまり有名でない薬害や副作用問題といえども、背景にある問題の本質は同じである。本書を読めば、一見、薬害とは無関係のような日常的につかわれている薬にも同じ問題がひそんでいることにお気づきいただけるもの思う。
薬害は、一部の運の悪い「被害者」がたまたま被った災難ではない。むしろほとんどの人がいつおそわれるかわらからない問題なのである。この小著が、薬害をできるだけすくなくするために、役に立つことができるならば、筆者にとって望外の喜びである。
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内 容 第T部 薬害の検証 第1章 過去の薬害 薬害とのかかわり
サリドマイド事件 薬害エイズと同じ構図 スモン 日本の薬害の原点
クロロキン薬害 てんかんにまでつかわれたマラリアの薬 コラルジル中毒症 大量長期投与をあおった権威者の論文
筋短縮症 注射の乱用が原因 第2章 70年代後半から現在にいたる薬害
ソリブジン つぎつぎにあばかれたデータ隠し 薬事法改正以降、かえって増えた問題薬
非ステロイド系抗炎症鎮痛剤 身近にある危険な薬 輸血後肝炎 過剰な成分製剤化と現場での安易な使用
第3章 薬害エイズ 1983年1月13日の論文 薬害エイズとは
血友病と凝固因子製剤 クリオと非加熱製剤 非加熱製剤の危険性の報告
非加熱製剤の危険性の認識 非加熱製剤はなぜ継続使用されたか
異例だが、典型的な薬害 第4章 薬害の予備軍 94年新薬の検討
タナドーパ 注射薬なみの高い値段に見合う価値があるか ピモベンダン 高価な薬の危いつかわれ方
イリノテカン データからはずされた毒性死 第U部 薬害の構造
第5章 動物試験と臨床試験 試験中は「薬」でなく「物」である
動物試験の重要性 臨床試験の問題点 第6章 仮の目標と真の目標
仮の目標のために薬がどんどんつかわれる 癌が小さくなることと癌が治ることとはちがう
真の効果が確かめられた高血圧の薬は少ない 血糖降下剤で寿命を縮めることも
抗不整脈にかんするショッキングな報告 高い評価を受けたメバロチンは
第7章 操作される情報 情報の意味を考える 伝わらない重要な情報:その@
伝わらない重要な情報:そのA 危険な情報操作 企業・行政・研究者の危険な関係
独立の医薬品情報誌への道のり 第8章 薬価のからくり 薬価の国際比較
日本の薬価はなぜ高いのか 第9章 薬害を生む構造 「毒」を「薬」と偽って得をするのはだれか
薬害を生む構造=利益を生む構造:その@ 誤った評価と害隠し
薬害を生む構造=利益を生む構造:そのA 高い薬価 薬害を生む構造=利益を生む構造:そのB 低い技術料と医業経営危機
薬害を生む構造=利益を生む構造:そのC 医療費のむだづかいが利益を生みだす
薬害を生む構造=利益を生む構造:そのD 製薬会社の潤沢な研究費と貧弱な公的研究費
薬害を生む構造:そのE 審査能力を欠く中薬審 第V部 薬害をなくすために
第10章 医療現場での薬の適切・安全な使用 医療現場での薬の誤用
病院内での適切・安全な使用のために 第11章 薬の害の監視とモニター制度
薬を監視する 副作用モニター制度 第12章 患者への情報提供
患者と医師の間の広くて深い河 なぜ患者向け説明書(添付文書)が必要か
薬のインフォームド・コンセント 第13章 薬害防止のための提言
医薬品行政改革への提言:その@ 医薬品行政に関する要望書 医薬品行政改革への提言:そのA 薬務行政抜本改善のための見解
医薬品行政改革への提言:そのB 1996年6月の提案 薬への信頼をとりもどすために
あとがき
資料 医薬品の有用性評価・薬害防止・高薬価是正のための提案
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