編 集:坂口啓子/浜 六郎 発行人:浜 六郎
発行所:特定非営利活動法人医薬ビジランスセンター
本書の概要
「薬のチェックは命のチェック」季刊誌 第8号
「喘息と必須薬」
奈良県内で起きた毒殺未遂事件(注)で使われた喘息の薬「硫酸サルブタモール」。必須薬中の必須薬です。しかし、マスメディアの報道は、まるで毒薬であるかのような扱いでした。必須薬でさえ使い方によっては毒になる典型です。
「同じ系統の中では一番有効で安全なよい薬なのに、誤解されるなあ。もっともっと毒性の強いものがあるけど」と思いました。「もっと毒性の強いもの」とは、商品名をベロテック、一般名をフェノテロールという噴射式の携帯吸入剤です。
ところが、この毒のようなものをいまだにメーカーは製造し、国は許可し、医療機関では使用しているのです。
今回の特集テーマは、第7号と同じく「必須薬」です。必須薬をよりよく理解していただくためには、「必須薬」であるかどうかの評価と同時に、無効なもの、危険なものを区別しておく必要があります。
そこで今回は、喘息用薬剤を例に、「必須薬」とはどういうものか、を具体的に解説します。また、実際に薬が必要な場合に必須薬が優先的に処方されるように、そうでないものは処方しにくくするような医療の仕組みはあるのか、についても、考えてみる必要があるでしょう。
薬は基本的には毒です。必要な人に適切に使えば「必須薬」ですが、使い方を間違えると毒にもなりますし、不要な人には「毒」でしかありません。健康な人が、見事に患者に仕立て上げられて、薬が「必須」であるかのように大量に処方されている医療の現状なども知っておいてほしいことです。
注:毒殺未遂事件:2000年7月発覚した事件で、入院中の少女の症状から担当医師が外来の毒物を疑い、飲みさしのお茶と尿から喘息薬硫酸サルブタモールと吸入剤の他の成分であるグリセリンが検出された。保険金めあての毒殺未遂の疑いで母親が逮捕された。
内 容
■特集 喘息と必須薬
喘息の必須薬と危険物質 Q&A 浜 六郎
睡眠薬でますます眠られなくなる!!
ヨーロッパの国々の医療に対する考え方と、必須薬
必須薬と危険なもの ー喘息用剤、胃腸用剤などー
■連載
行ってきました ISDB総会
みんなのやさしい生命倫理 谷田憲俊
リレーエッセイ 薬は誤解だらけ 春本幸子
薬害の歴史
クロロキン薬害 松下一成
編集長インタビュー 勝村久司三に聞く
医療裁判とレセプト開示
■トピック
抗生物質の皮内テストは続けるべき
死産児出産母親への心理社会的ケアについて
フッ素はあぶない!!
■NOPJIPの提言 新薬許可の根拠資料はすべて公開に
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