(2003.01.12)
ゴールデンピル賞ノミネート薬剤
1.救命的もしくは苦痛を明瞭に軽減
1) ボスミン(エピネフリン orアドレナリン、第一)
TIP1986年4月号、TIP2001年10月号
- アナフィラキシー・ショックおよび、超急性重症型の気管支喘息で、多くの人を救命してきた。
2) ソルコーテフ(コハク酸ヒドロコルチゾン,ファルマシア)
TIP2001年10月号、
- アナフィラキシー・ショック、および、急性喘息重積発作の治療に対して多大な貢献をしている。
- ステロイド剤の中では最も即効的。緊急に際して、溶解液を混入しなければならないという、手間はあるが、それを一バイアル内に収めて使いやすくしている点は評価できる。
- ただし、エステル剤であることによる、喘息患者の治療に使用が制限されることが一つの欠点である。その表示について記載されたい。
- また、250 mg以上の製剤(250 mg, 500 mg,1000mg)は不要であろう。極めて多数の効能について、すべて本当に適応があるのか、再検討を要する。
3) ノボリンR(速効型インスリン, ノボノルディスク)
『薬のチェックは命のチェック』No1(2002.1)
- 糖尿病性昏睡患者に使用して、救命的である。
- I型糖尿病患者に、対して長時間作用型のインスリン製剤と組み合わせた強化療法が、長期予後(血管障害合併症)を改善する(外国で)
- また˘型糖尿病に対しても、同様の長期予後改善がランダム化比較試験(RCT)で、日本において確認されている。
4) 麻酔剤(全身)
- 放置すれば死亡し緊急手術を要する例に対して救命的(薬剤名未特定)
5) 麻酔剤(局所)
- 手術や処置の際の局所麻酔、脊髄麻酔、硬膜外麻酔に必須(薬剤名未特定)
6) サーファクテン(サーファクタント、東京田辺)
- 放置すれば呼吸窮迫を起こして死亡していた新生児RDS(新生児呼吸窮迫症候群)に対して救命的である。
7) ラシックス (フロセミド、アベンティスファーマ)
- 心不全治療(急性期、慢性期)に不可欠、救命的
- 害も比較的少なく、比較的安価
8)塩酸モルヒネ錠(塩酸モルヒネ錠、大日本)鎮痛・解熱治療ガイドライン(2000年)
- がんの疼痛が始まり、モルヒネ処方を開始する時、および、途中で疼痛が増強した時、頓用として扱いやすく、患者にも飲みやすく、必須である。
- ところが、利用している医師、採用している施設が少ない。
- この塩酸モルヒネ錠のもっとこまめな使用によって、モルヒネを用いたがん疼痛の緩和ケアは、より一層有用なものとなる。
9)MSコンチン(硫酸モルヒネ徐放錠、塩野義)鎮痛・解熱治療ガイドライン(2000年)
- がん患者の疼痛緩和療法として、抜群の効果を発揮し、がん患者の恐怖をとることに貢献した。
- 望むらくは、もう少し安価であってほしい(特に高用量錠)
2.真の エンドポイント(死亡,著明な苦痛軽減)で有効性と安全性の明瞭な証拠。
(外国でのエビデンスだけでなく、できれば日本においてもエビデンスがある)
〔インスリン〕『薬のチェックは命のチェック』No1(2001.1)
10)ペンフィル30R(中間型インスリン+速効型インスリン)
+ペン型インスリン自己注射器(ノボノルディスク)
- I型糖尿病患者のQOLを改善、多数の命を救っている。
- II型糖尿病についても、血管障害等重大なイベントを減少した(日本での
データあり)
- ペン型の注射器は、それまでのインスリン注射の煩わしさを一気に半減させたといってもよい。このことから、注射が普及し、糖尿病患者の合併症の改善や予防に多大な貢献をした。
- ただし、高血糖値の患者の血糖値をあまりにも急速に正常人の正常値にすることで、かえって合併症の悪化を招くことのないよう、適切な情報の提供を怠らないよう願いたい(ただし、これは7〜8割は医師の責任である)。
-
〔降圧剤、心不全用薬剤〕
11)ダイクロトライド(ヒドロクロロチアジド:万有)
TIP1999年7月号,『薬のチェックは命のチェック』No3(2001.7)
- 高血圧患者の生命予後を改善(4つのRCTのメタアナリシスで低用量の、利尿剤が死亡率を低下)し、脳卒中や心筋梗塞、心不全を著明に予防した。脳卒中0.66(0.55-0.78)、冠疾患0.72(0.61-0.85)、うっ血性心不全0.58(0.44-0.76) 、総死亡0.90(0.81-0.99)
- 過剰な塩分をとり勝ちの日本の高血圧患者にはさらに有利なはず。コレステロールの多少の上昇はなんら危険因子とはならず、逆に生命予後に好都合。
- しかも安価である。日本では使用頻度少ない。もっと使用されてよい薬剤。
- ただし、25mg錠は高齢者にとっては過剰であるので、12.5mg錠の開発がされることが望ましい(一応割線つきであるので、その点は可とする)
12)インデラール(プロプラノロール,β遮断剤、アストラゼネカ)
TIP1999年7月号,『薬のチェックは命のチェック』No3(2001.7)
- プロプラノロールはβ遮断剤の原型
- 狭心症、心筋梗塞後、心室性不整脈、うつ血性心不全、高血圧に有効
- 肝硬変患者の門脈圧亢進症による胃食道静脈瘤出血防止効果あり。世界的に評価の確立している「門脈圧亢進症による胃食道静脈瘤出血の予防」の適応をとってほしい。
- メトプロロール、アテノロールの価値が長期臨床試験で証明されてきている
13)カプトリル(カプトプリル,三共)
TIP1999年7月号,『薬のチェックは命のチェック』No3(2001.7)
- ACE阻害剤の原型。
- 心筋梗塞後、心不全の長期予後改善のエビデンス(アンギオテンシン受容体拮
抗剤との比較でも心不全を改善傾向あり、突然死は有意に少なかった)
- (エナラプリルも、同様のエビデンスあり、心不全にはより有効か)
〔抗血小板剤〕
14) バイアスピリン(少量アスピリン、バイエル)
TIP2001年1月号,2月号,3月号,5月号、『薬のチェックは命のチェック』No7(2002.7)
- 心筋梗塞の再発予防に確実な効果。安全、安価、抗血小板剤の第一選択。ただし、日本における長期RCT のデータはない
- 少量のアスピリ製剤が承認されるまでに、他の無効あるいは有害な抗血小板剤の普及を許してしまったことはたんへん残念であった。
- 利益があがる見込みがないために臨床試験をしなかったことが関係していると思われるが、今ひとつの努力を期待したかった。
〔鎮痛剤・解熱剤〕
15) カロナール(アセトアミノフェン、昭和薬化工)
NPOJIPブックレット「解熱剤で脳症にならないために」(2001年11月)
『薬のチェックは命のチェック』No1(2001.1)、鎮痛・解熱治療ガイドライン TIP1999年1月号,3月号
- 末梢抗炎作用(感染症増強作用)が少なく、潰瘍形成や腎障害が少なく、またアスピリン解熱鎮痛剤喘息の患者にもほぼ安全に使用できる。解熱剤としても最も安全である。
- ただし、使用量の増加に伴って、大量使用がなされ、欧米のようにアセトアミノフェンによる重篤な肝障害が生じるようなことがあってはならない。
- そのために、ぜひとも、適切な警告情報の徹底を望みたい。
- 昭和薬化工では、錠剤、細粒、シロップ、坐剤をすべてそろえているので、カロナールを授賞対象とした。
〔β2 選択性β作動剤〕
16)サルタノールインヘラー(硫酸サルブタモール,日本グラクソ)
呼吸器疾患治療ガイドライン(2001年)、『薬のチェックは命のチェック』No8(2002.10)
- β2 選択性β作動剤の基本(原型のイソプロテレノールは心毒性が強すぎて、害が多いため、ゴールデンピル賞には該当しない)。
- 喘息の急性発作の軽減に最も安全かつ有効
- 生産数量の開示請求にも適切に回答がなされた。
〔吸入ステロイド剤〕
17)アルデシン(プロピオン酸ベクロメタゾン、共和薬品−シェリングプラウ)
呼吸器疾患治療ガイドライン(2001年)、『薬のチェックは命のチェック』No8(2002.10)
- 喘息発作の予防、治療に貢献。
- 喘息死の減少にも貢献していると考えられる。
- 生産数量の開示請求にも適切に回答がなされた。
- ただし、過剰使用では害がありうるので、十分な注意が必要
〔抗ケイレン剤〕
18)セルシン(ジアゼパム,武田薬品)
- 抗不安剤,睡眠導入剤,抗けいれん剤,鎮静剤,麻酔補助剤、慢性アルコール症の離脱症防止にも不可欠など、たいへん多彩な用途に、縦横無尽の働きをしている。一成分でこれだけの働きをしている薬剤は他に例を見ない。これを超えるベンゾジアゼピン剤は出現していないと言える。
- また、比較的安価である。
- ただ,依存については他の薬剤と同様にあるので、十分な注意は今後も必要
19)デパケン(バルプロ酸,協和発酵)
- 全身性けいれん他、ほとんどの型のけいれん(てんかん)に対して適応があり、他の抗けいれん剤に比較して副作用が少ない
- 血中濃度と有効性、安全性の相関がよい
〔抗潰瘍剤〕
20)アルサルミン(スクラルファート,中外)
消化器疾患治療ガイドライン(1999年)
- 胃潰瘍の再発予防ではH2 ブロッカーよりも優れるとのRCTがある。
- ストレス潰瘍の予防にもH2 ブロッカーよりも優れるとのRCT(死亡率も含めたエンドポイントで)がある。
- 日本で開発された薬剤の中で世界の教科書で評価されている抗潰瘍剤。
- 極めて安価である(ただし、便秘が少し難)
21)タガメット(シメチジン、グラクソ・スミスクラインー住友)
消化器疾患治療ガイドライン(1999年)
- 消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)の治療を一変させた
- H2ブロッカーの原型(相互作用が多いのが欠点)
〔抗バーキンソン剤〕
22) メネシット(L−DOPA+カルビドパ配合剤,万有)
- L−DOPAの効果は顕著であったが、下痢、嘔吐の副作用が極めて多く漸増療法が必要(現実には極めて困難)であった。
- カルビドーパ等配合で、最初から有効量使用が可能になり、パーキンソン病の治療が画期的に容易になった。
- breakthrough は L-DOPA であるが、カルビドパの配合もそれと同等以上のbreakthrough と言える。
〔抗精神病剤〕
23) セレネース(ハロペリドール,大日本)
向精神病薬治療ガイドライン(2001年)
- 向精神病剤(統合失調症用剤)中の基本薬剤、副作用も比較的少ない。
- 他の向精神病剤も含めて、大量使用に際しての錐体外路症状−カタトニア−悪性症候群を一連の症状ととらえること、
- 同様に、突然死の適切なモニタリングをすることにより、それぞれとの関連についての疫学調査が必要。害の規模の正確な把握と、防止策の普及を、多剤の先頭に立ってやってほしい。
- 疫学調査を実施しないなら、現在あるデータから関連ありとして、十分な厳しい警告が必要
〔消毒剤〕
24)イソジン(ポビドンヨード,明治製菓)
世界のエッセンシャル・ドラッグ(2000年)
- 安全かつ有効、耐性菌も現在のところ出現してきていない(イソジンがーグル=うがい薬は必須薬とは考えていないので注意を)
〔抗生物質〕:抗生物質治療ガイドライン(2002年)
25)アモキシシリン
- 経口抗生物質として極めて用途が広い、害も比較的少ない。極めて安価
26)セファゾリン
- 手術関連感染予防の標準薬、注射剤抗生物質として第一選択薬となるケースがきわめて多い。
27) クラリスロマイシン
- マクロライド剤中の選択薬剤(広範囲なスペクトル)
ただし高価(グラム陰性、陽性、マイコプラズマ、クラミジア、H.pyroliにも効果)
28)ゲンタマイシン
- アミノグリコシドの原型。緑膿菌をはじめ腸内細菌に対して現在でも第一選択で必須。
〔抗結核剤〕:抗生物質治療ガイドライン(2002年)
29)リファンピシン
- 従来の抗結核剤に比較して、強力で、結核治療が大幅に外来で可能となった。
〔ワクチン類〕:抗生物質治療ガイドライン(2002年)
30)HBワクチン
- B型肝炎の母子感染、誤穿刺感染、夫婦間感染などの防止に貢献
31) HBIG
お断り:今回、抗ガン剤と抗HIV剤、麻酔剤については、「ゴールデンピル賞」等の選考が十分可能なほどには情報分析していないので、対象外としています。
「ジキルハイド賞」ノミネート薬剤
1. 糖質コルチコイド:代表:リンデロン(ベタメタゾン、塩野義)
『薬のチェックは命のチェック』No9(2003.1)
- 種々の疾患で多大な貢献をしてきたが、濫用の傾向あり
- 感染性ショックに対する安易な使用など、重大な害もありうる
2.H2ブロッカー:代表:ガスター(ファモチジン、山之内)
TIP1996年10月号、TIP1996年4月号、
鎮痛・解熱治療ガイドライン(2000年),向精神薬治療ガイドライン(2001年)
- 消化性潰瘍患者の手術を減少、ただし安易な投与で害も大きい
- 感染症、アレルギー、自己免疫疾患悪化、
- せん妄多発、痙攣の原因にもなる。
- OTC化での過剰宣伝も問題
3.第3世代セフエム剤:代表:シオマリン(ラタモキセフ、塩野義)
抗生物質治療ガイドライン(2002年)、
『薬のチェックは命のチェック』 No5(2002.1)、No6(2002.4)
- 広域スペクトルで従来の抗生物質に耐性の菌にも効果がある反面、不要例に多用されて、さらに多剤耐性菌を発生させ、日本におけるMRSAの多発を招いた。
- さらに最近では経口の第三世代抗生物質もあり、本来の治療のあり方に混乱をまねくもとになっている。
4.キノロン剤:代表:タリビッド(オフロキサシン;第一)
抗生物質治療ガイドライン(2002年)、
『薬のチェックは命のチェック』 No5(2002.1)、No6(2002.4)
- 広域スペクトルで従来の抗生物質に耐性の菌にも効果がある反面、不要例に多用されて、さらに多剤耐性菌を発生させ、日本におけるMRSAや他の多剤耐性菌出現の大きな一因と考えられる。
- また、キノロン剤が第一選択となる菌種に関しても耐性菌が出現する原因となっている。
5.ゾビラックス:(アシクロビル、住友-日本ウエルカム)
TIP1994年11月号,12月号
- ヘルペス脳炎に救命的効果あり。
- 帯状疱疹(特に免疫不全時)に効果あり
- ただし、最近単なる水痘に濫用されており重大な問題がある(ヘルペス脳炎に対する救命的効果からして、ジキル・ハイド賞は不適切との意見も委員の中にある)
6.非ステロイド抗炎症剤
TIP1992年7/8月号、TIP1995年7/8月号、TIP1997年8/9月号
- 痛みの苦痛は軽減するが、副作用が多すぎる。とくに感染症発症時重症化、
7.新鮮凍結人血漿 (日本赤十字社) (TIP1987年2月号,5月号,7月号)
- 凝固因子が不足した患者の大量出血には必要であるが、不要な患者に使われすぎて、C型肝炎を多発させた。現在でも一定の率で感染の機会を増加
- 本来あるべき、凝固因子製剤の製造に回すべきものが血漿のまま使用されている。
デビルピル賞ノミネート薬剤
(呼吸器(喘息)用剤=β作動剤)
1.ベロテックアロゾル(フェノテロール、ベーリンガー・インゲルハイム)
TIP1997年5月号,6月号,2002年1月号、『薬のチェックは命のチェック』No5,No8
- 年間 200人以上の命を奪ってきたと推定され、現在もなお 100人以上の命を奪っていると推定される
(抗がん剤=非小細胞性肺ガン用)
2.イレッサ(ゲフィチニブ、アストラゼネカ)
『薬のチェックは命のチェック』No9(2003.1)TIP2002年12月号(予定)
- 寿命はかえって縮まる(1カ月あまり)
- 腫瘍が少し縮まるのが10%前後で、7%が死亡、10数%が重い副作用
(コレステロール低下剤)
TIP1999年6月号,2001年3月号,7/8月号『薬のチェックは命のチェック』No2(2001年4月)
- 日本人では、コレステロール低下剤により年間1000人以上が死亡する危険がある。
3.ベザトール(ベザフィブラート、キッセイ)
4.リパンチル(フェノフィブラート、グレラン-武田)
- その他フィブラート剤すべて)
- クロフィブラートの時から、害は明瞭(総死亡増加)
- これをくつがえす長期臨床試験はない
5.メバロチン(プラバスタチン、三共)
- 唯一、一次予防効果がみとめられているが(総死亡もかろうじて)、イギリスでの結果。
- 一部に必要な人もいるであろうが、日本では害のほうが圧倒的に大きいと思われる。しかも、1800〜2000億円/年もの浪費と死亡
6.リポバス(シンバスタチン、万有)
(糖尿病用剤)
7.アクトス(ピオグリタゾン、武田)
TIP2000年4月号,10月号、『薬のチェックは命のチェック』No1(2001年1月)
- 血糖値を下げる用量は心不全を中心とする毒性発現用量つまり、これで長期間血糖をさげると、必ず心臓が悪くなる。これは薬でない。単なる毒そのもの。
- 長期的に必ず害をもたらすはず。実際に臨床試験データもそれを示唆している。
8.キネダック(エパルレスタット、小野)
TIP1998年7/8月号、『薬のチェックは命のチェック』No1(2001年1月)
- 神経障害にたいする効果なし。
- 肝障害やアレルギーなど副作用は多彩。
(解熱剤)(NPOJIPブックレット「解熱剤で脳症にならないために」)
『薬のチェックは命のチェック』No1(2002.1.)
9.ポンタール・シロップ(メフェナム酸、三共)
10.ボルタレン錠、坐剤(ジクロフェナク、日本チバガイギー)
- 年間数十人の幼児の脳症、死亡の原因である可能性がある。
- ようやく使用量が減少しつつあるがまだ中止になっていない
11.オベロン(スルピリン+他の解熱剤、日本新薬)
- ショックあり、厳重な注意にもかかわらず使用されている
12.メチロン(スルピリン、第一)
(頸管熟化剤)
13.マイリス(プラステロン硫酸、日本オルガノン)
TIP1999年12月号、2000年2月号、『薬のチェックは命のチェック』No9(2003.1.)
- 何のメリットもなし
- 女性ホルモンの非生理的大量曝露を受け、児に発がんやアレルギーも起こしうる
- 早産を誘発し、逆に周産期異常が多発の傾向がある。
(心不全用剤、陽性変力剤)
14.アカルディ(ピモベンダン、ベーリンガー・インゲルハイム)
TIP1996年3月号、「薬害はなぜなくならないか」、TIP1998年3月号
- 慢性心不全に対して、害の方が大きい。適応患者がいない適応症
- この系統は急性期用のもの。
- 超高価(標準心不全用剤の13〜35倍)。それに見合う価値なし。
- 服用中の患者さんへの注意:中止に際しては心不全が悪化することがあるので、利尿剤やACE阻害剤などによって十分に心不全のコントロールをし、できれば入院のうえ中止する必要がある。
15.タナドーパ(ドカルパミン、田辺)
TIP1996年7/8月号、「薬害はなぜなくならないか」『薬のチェックは命のチェック』No7(2002.7)
- 必要な人に働かず、不要な人に過剰に作用する。
- 実際に臨床試験段階で危険が明瞭。
- 現実にも相当数の死亡をもたらしている可能性が大きい
- 服用中の患者さんへの注意:(ピモベンダン参照)
16.アーキンZ(ベスナリノン、大塚)
TIP1996年3月号、『薬のチェックは命のチェック』No7(2002.7)
- 慢性心不全に対して、害の方が大きい。適応患者がいない適応症
- かつ高価
- 副作用データ隠しあり
- 服用中の患者さんへの注意:(ピモベンダン参照)
17.カルグート(デノパミン、田辺)
- 慢性心不全に対して、害の方が大きい。適応患者がいない適応症
- かつ高価
- 服用中の患者さんへの注意:(ピモベンダン参照)
(心不全用剤)(『薬のチェックは命のチェック』No7(2002.7)
18.ハンプ(カルペリチド、ゼリア新薬)
19.ミルリーラ(ミルリノン、山之内)
20.アムコラル(アムリノン、明治製菓)、カルトニック(アムリノン、山之内)
- いずれも超高価(1日5万円、『薬のチェックは命のチェック』No8参照)
- れに見合う価値はない
21.ジギラノーゲンC(デスラノシド、いわゆる「ジギC」小林—藤沢)
- 1日1アンプルではたいてい過剰になり、ジギタリス中毒多発。
- 血中濃度はジゴキシンとして測定できるが、あまり知られていないし、測定もされていない。
- ジゴキシンに上回る利点は皆無。ジゴキシンのみで可。
(カルシウム拮抗剤、血管拡張剤)
TIP1999年7月号,8/9月号、『薬のチェックは命のチェック』No3(2001.7)『薬のチェックは命のチェック』No7(2002.7)
22.アダラート(ニフェジピン,バイエル)
- 短時間作用型を急性虚血発作に2週間使用して死亡率増加(2つのRCTで一致)
- 反射的に交感神経を刺激する。それが長期持続すれば、害が増加するのは当然。
(抗不整脈剤)
23.リスモダン(ジソピラミド、アベンティスファーマ)
- 有症状の心室性不整脈しか適応がないが、無症状の心室性不整脈や、上室性不整脈にさえ使用されている。
過剰使用。
(糖質コルチコイド剤)(『薬のチェックは命のチェック』No10で特集予定)
24.ソル・メドロール(メチルプレドニゾロン、ファルマシア)
- 承認適応症は急性循環不全(出血性ショック、感染性ショック)
出血性ショックや感染性ショックによいという結果が承認されたのは、
ショック後12時間の状態で判断しているから。その後の感染や出血への影響は全く見ていない。これでは、本当の効果はわからない。
- 全体として使用頻度は圧倒的にパルス療法
- パルス療法で唯一コクランのシステマチックレビューで評価されている多発性硬化症の急性増悪の改善が5週間の時点では認められた。
- ただし、6カ月〜1年後の再発は逆に多い傾向がみとめられており、決して薦められる治療法とは言えない。
- 重症喘息の悪化率(呼吸不全合併率が多い傾向あり)
- 潰瘍性大腸炎にたいしても悪化の傾向あり
(睡眠剤)
25.ハルシオン(トリアゾラム、ファルマシア)
TIP1991年11月号、『薬のチェックは命のチェック』No4、向精神薬治療ガイドライン
- 超短時間型、依存形成しやすい。
- 夜間覚醒、逆説不眠、錯乱、せん妄、記憶障害、離脱症状(幻覚、痙攣も)
- 興奮作用あり、他のベンゾジアゼピンと異なる(ジアゼパムでコントロール困難)
(抗生物質) (『薬のチェックは命のチェック』N05,N06参照)
26.ケフラール(セファクロル、塩野義)(TIP1988年7,8月号)
- アナフィラキシーショックの頻度が他の10倍。その他重篤なアレルギーも多い
27.パンスポリン(セフォチアム、武田)(TIP1998年10月号)
- アナフィラキシーショックが多い、皮内テストでもショックあり。
(補液剤、TPN用剤)(TIP1997年7月号)
28.トリパレン、アミノトリパ(キシリトール、フルクトース配合TPN用剤、大塚)
29.キリット注(キシリトール補液、大塚)
30.トリフリード(フルクトース補液、大塚)
(喘息用薬剤:抗アレルギー剤)
31.ブロ二カ(セラトロダスト、武田)
TIP1997年7/8月号、呼吸器疾患治療ガイドライン
- 臨床試験中の喘息患者が100人中2人突然死した。
- 肝障害の副作用の頻度も高い。
32.ダン・リッチ(PPA含有鼻閉改善剤、住友製薬)
TIP2000年11月号、『薬のチェックは命のチェック』No1(2001.1.)
- 脳出血、その他血栓性〜梗塞性疾患(心筋梗塞、肺水腫なども)の頻度が高く、
とくに高齢者では顕著
(ワクチン)
33.インフルエンザHAワクチン
(インフルエンザHAワクチン、化血研-藤沢など)
TIP1999年5月号、『薬のチェックは命のチェック』No1(2001.1.)
- 無効、高価、害もある
- 世界的にもワクチンの真の有益性を示す適切なRCTなし。
- 日本には、無効を示す大規模なコホート研究(欧米のRCTをしのぐ信頼性のあるコホート研究)がある。
(抗ヒスタミン剤)
34.セルテクト(TIP1993年10月号、呼吸器疾患治療ガイドライン)
- 抗アレルギー剤というより、抗ヒスタミン剤でしかも抗ドパミン作用あり
- 錐体外路症状、月経不順など、種々副作用
(抗血小板剤)
35.パナルジン (チクロピジン、第一)
TIP2002年8/9月号
- 少量アスピリンより優れるとのRCTはなし
- 基本的にRCTの方法に問題あり(少量でなく大量アスピリン使用=効果少なく、害が大きくなる
- 約100人に1人という無顆粒球症や血液障害の頻度が3つのRCTで公表されているが、その情報が、ほとんど知られていない。
- 安全に使用できるようにするための手段がない(2週間に1度の検査をしてもしなくても、発見された時の血液障害の程度には有意の差はなく、重症例は非常に多い)。
(抗潰瘍剤)
36.プロマック顆粒(ポラプレジンク、ゼリア新薬)
TIP1996年10月号、TIP1998年4月号、『薬のチェックは命のチェック』No8(2002.10)
- 量を増やすとかえって効果少なく、害が増加
- 臨床試験方法に基本的問題あり
(抗潰瘍剤/抗うつ剤)
37.ドグマチール(スルピリド、藤沢)
- パーキンソン症状の発現が著しく高いことが十分に予想されるが、もとの病気(うつ状態)との区別が明瞭でないために、その被害が明瞭になっていないし、被害状況について、きちんとした調査がなく、安易な使用が続いている。
【デビルピル特別賞】
1.動脈硬化学会の高脂血症治療ガイドライン
『薬のチェックは命のチェック』 No2(2001.4)
2.高血圧学会の2000年ガイドライン
『薬のチェックは命のチェック』 No3(2001.7)
上記の2つのガイドラインは、薬剤ではないが、多数の害を及ぼす可能性が極めて高いため、「デビルピル特別賞」の候補としている。