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star01e.gif アドレナリン ぜん息治療などに効果 star01e.gif

 

  

  

 心臓や腸は人の意思とは関係なく、寝ている間も勝手に動く。この動きを調節してるのが自律神経だ。交感神経と副交感神経とからなる。交感神経はエネルギーを使って仕事させる方、副交感神経は消化や排泄を促し、仕事にブレーキをかける方に働く。

 運動会で走る前や先生にあてられた時の胸の鼓動、武者震いは交感神経の働きによる。その主役アドレナリンは、闘いに備えて酸素とブドウ糖を準備し、血圧を上げ、心臓を強く早く動かし、筋肉に十分血液を送り込む。エピネフリンともいう。

 アドレナリンの作用にはα、β1 、β2 がある。皮膚などの血管を収縮させて血圧を上げるα、心臓の筋肉の力を強め、拍動を早くするβ1 、酸素補給のため気管支を広げ、肝臓などに貯えたグリコーゲンからブドウ糖を作り、筋肉の血管を広げて運動に備えるβ2。血管収縮と血管拡張という相互に矛盾する働きを使い分ける。

 薬剤としてのアドレナリンは、気管支喘息や薬剤の過敏によるショックの治療に威力を発揮する。α作用だけ、β作用だけの薬剤も、それぞれ、血圧を上げる薬、気管支を広げる喘息の薬として使用される。一時的効果は強力だが、過信は禁物。

 糖尿病でインスリンや血糖を下げる薬を使っていてドキドキしたり冷汗をかくのは、血糖の下がり過ぎを感知して、血糖を上げるための反応で、これも体内のアドレナリンの働きによる。

1997年5月12日付け日経新聞夕刊 

 

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