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star01e.gif アルコール 痛み緩和や眠気招く作用star01e.gif

 

  

  

 病院で聞くアルコールといえば、消毒用のアルコール、肝臓癌の治療(エタノール注入療法)や痛みの治療(神経ブロック)に使用される純エタノール、それに、依存症の原因としてのアルコール飲料である。

 消毒用のアルコールは現在では大部分はイソプロピルアルコールか、エタノール(エチルアルコール)にごく少量のメタノール(メチルアルコール)を混合したものである。純粋のエタノールだと酒に転用できるので酒税法の関係からお酒として利用できないよう、飲用すると危険なメチルアルコールを入れてある。エタノールなら、純粋のものよりも、70〜80%程度のものが最もたんぱく質を変性させやすいので、細菌の消毒には、このような濃度のものが使用される。 肝臓癌の治療(エタノール注入療法)や痛みの治療(神経ブロック)には、純エタノールが使用される。

 一方、アルコール依存症の原因になるアルコールはもちろん、エタノールである。飲用のアルコールは、他の項で何回かにわたって述べた睡眠剤とか、全身麻酔剤、安定剤、抗けいれん剤などとよく似た性質がありアルコール類似物質と呼ばれる程である。

 アルコールを飲むと、少量で痛みが和らぎ、気分が昂揚し、不安が和らぎ、その後眠くなり、さらに飲むと翌日は自分のしたことを全く覚えていないこともある。深酒の後は気分が不良になる。

 長期に大量飲酒を続けると、アルコールがなければ不安になり、手が震えたり、さらに進むと幻覚やけいれんも起こる。いわゆる慢性アルコール中毒、もしくは「アルコール依存症」とよばれる状態である。

日経新聞1999年11月29日付改編

 

 

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