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長期に大量の飲酒を続けていると、アルコールがなければ不安になる、不眠となり、手が震えるようになり、また酒を飲んでしまう。このような状態で完全にアルコールを断つと、3〜4日目には禁断症状(離脱症候群)として、幻覚や痙攣が生じる。いわゆる「慢性アルコール中毒」、もしくは「アルコール依存症」とよばれる状態になってくる。 アルコールがなければ、不安になる程度であれば、これは精神的依存というが、アルコールが切れると、幻覚が生じたり、けいれんが生じるような状態になると、これは身体的依存ということになり、入院して治療が必要である。 このような身体的依存の症状が出現するのを予防するためには、ジアゼパムなど、睡眠剤にも抗けいれん剤にもなり、しかも抗不安剤にもなる薬を使用する。つまり、短時間でも効くし、長時間効果も持続する薬剤が必要なのである。これを、アルコールを断つために入院した直後から相当大量に使用する。そうするとアルコールが切れたことによる不安やイライラ、不眠にならずに済み、幻覚やけいれんなどの禁断症状(離脱症状)が出ずに済む。 短時間で効き目が現れ、寝覚めがよいと言われるトリアゾラムなどの睡眠剤は、ちょうどアルコールと同じくらいの半減期(血液中の薬剤の濃度が半分になるのに要する時間)であり、断酒した時のアルコール離脱症状を予防することはできない。 このようにして、アルコールを断っても禁断症状がでなくなったことを確認してから、長時間作用する抗不安剤(抗けいれん剤)を徐々に減量していく。 しかし、アルコール依存症の治療で最も大切なのは、一旦断酒に成功し、退院した後のフォローであることは言うまでもない。 日経新聞1999年12月6日付改編 |
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