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star01e.gif ダンピング症候群 胃切除後の不快症状star01e.gif

 

  

  

 ホルター心電図の項で突然意識がなくなる原因として、てんかん、脳の血管のけいれん、心臓の3つをあげたが、この他にもダンピング症候群や起立性低血圧も原因になる可能性はある。人事不省に陥って救急で四回も入院したが原因は不明という読者の方から質問があったが、この人は以前手術していて胃の5分の4を取っていた。こういう場合、ダンピング症候群が原因である可能性が強い。

 胃を手術した人は食後30分以内あるいは食後2〜3時間頃に、冷や汗、動悸、めまい、しびれ、失神などの特有の症状が出現する。30分以内に現れるのを、早期ダンピング症候群、2〜3時間後に生じるのを晩期ダンピング症候群という。

 いずれも胃が小さくなっているために、胃を切っていない人が食べるのと同じ程度の量を一度に食べると、胃腸が急に拡張したり過剰に動き出したり、お腹に血液が急に移動して、脳に行く血液が不足したり、この状態を立て直そうとする反応などのために起きる症状が早期ダンピング症候群。一方、食事で一挙に腸に移動し吸収された糖分を処理するためにインスリンが過剰になるのだが、その時にはすでに食物は胃腸にはない。このため低血糖になり、やはり、むかつき、冷や汗、動悸、めまいなどの症状が出る他、ひどい場合には意識がなくなることがある。

 いずれも、ぶどう糖の負荷試験をして、早期に症状が出るか、食後2〜3時間に著しい低血糖になることが証明されれば、ダンピング症候群であることが診断できる。

 症状が起きないようにするには、少量ずつ分けて食べること、吸収の早い糖分や炭水化物に偏らず、吸収のゆっくりしたタンパク質や脂肪分を多い目にとるようにする。

 立った瞬間におきる立ちくらみは、起立によって血圧が下がりすぎるため。「起立性低血圧」と呼ぶ。

日経新聞1998年5月18日付改編

 

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