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薬は化学物質で、人にとってはもともと異物。酸素やぶどう糖、食塩、ビタミンなどのように人には不可欠のものでも、使い方や量によっては毒にもなる。まして、薬には不都合な働きはつきもの。むしろ、人に役立つ働きは一部で、不都合な働きの方が多彩なぐらい。人に役立つ薬の働きに対して都合の悪い働きを副作用と呼んでいる。欧米では生じた人側の反応を重視して害反応(adverse reaction)をよく使う。 たとえば、解熱鎮痛剤。人に都合がよいと考えられている作用は解熱、鎮痛、抗炎症作用だが、副作用は代表的なものだけでも、胃・十二指腸潰瘍、腎臓障害、肝臓障害、発疹、貧血、血液の病気、喘息、感染の悪化、ショック、ライ症候群などいろいろある。 解熱・鎮痛剤による胃・十二指腸潰瘍のため、日本では毎年6000人が入院し、600 人が死亡しているとの推測がある。アメリカでは副作用全体で、年間10万人が死亡している。人口あたりに換算すると日本では5万人ということになり、肝臓ガンと肝硬変患者の年間死亡者数を上回る。 薬は量を増やせば強い効果が出るが、ある程度以上では頭打ちになり、しかも副作用は起こりやすくなる。副作用があまり起きず、都合のよい効果がでる量が最も適切な薬の量である。 薬の副作用(害反応)には、このように量を増やせばだれにでも生じてくるようなものと、大部分の人には何ともないが人によって死ぬほどの反応が起きるアレルギーや過敏反応の大きく分けて2種類がある。 適切な薬を適切に使って起きるものは「副作用」だが、許可すべきでなかったもの、早く中止せずに被害が拡大した例、医師による不適切な使用によるものなどは「薬害」と呼ぶ。副作用を減らす努力と、薬害防止のための監視が大切だ。 日経新聞1999年1月4日付改編 |
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