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日本人のほぼ3人に1は癌で死ぬ。その癌には痛みがつきものだ。1992年の調査によれば、あらゆる進行度の癌患者の22%に痛みがあったという。末期患者だけをとればもっとその率は高いが、外来通院中の患者でも痛みを訴える人は少なくない。 しかし、この癌の痛みは95%以上がモルヒネを中心とする適切な治療によってほぼ完全に除くことができ、痛みを感じることなく日常生活を送ることが可能である。このような癌の痛みに対する治療を中心とした癌患者の苦痛に対する治療やケアをがん緩和治療とかがん緩和ケアという。 癌に対する恐怖は、死への恐怖と「癌の末期の痛みを耐えられない辛さ苦しさ」への恐怖であろう。 余命の長短ではなく、その患者の感じる痛みの強さによって治療をすべきとの原則で治療をすれば、87%の人の痛みが完全に消失し、ほぼ完全に消失した人まで含めると96%に達する。逆に積極的にそのような治療がなされない場合には、ほとんど100%の人が死への恐怖と痛みで心身ともにたいへんな苦痛のまま過ごすことになる。 大学病院のような大病院ですらまだまだ適切ながん緩和治療が行われていない現状は早く解決されなければならない。 この解決は癌の痛みと死への恐怖に苦しむ患者や家族にとってだけでなく、今は健康な人にもいつ訪れるとも知れないので重要だ。 WHO(世界保健機構)の指針には、癌患者には痛みに対して適切な鎮痛剤で治療される権利があり、医師にはそうする義務があると述べられている。モルヒネを癌の末期の激痛にだけ使うという考え方は古くなって久しい。 日経新聞1998年12月7日付改編 |
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