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star01e.gif 敗血症 細菌や毒素が全身にstar01e.gif

 

  

  

 細菌に感染して、症状が全身に及んだ状態を敗血症という。細菌そのものが血液中になくても、細菌から出る毒素やそれに影響された体の種々の物質(これらをサイトカインという)が全身に回って肝臓や腎臓、肺など重要な臓器がおかされて重い症状を起こす。

 たとえば、肺に起これば強い呼吸困難、腎臓だと腎不全などが起きる。病原性大腸菌O−157で有名になった溶血性尿毒症症候群(HUS)は肺血症ではないが、赤血球が壊されたり、腎臓が障害を受けたりする。これは、ベロ毒素という毒素が全身に回って起こすものである。

 院内感染を引き起こすメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)でも、単なる腸炎と思っていたら急速に脱水も伴い、ショック状態になることがある。肺の状態が急激に悪化し、肝臓や膵臓、腎臓までやられることさえある。敗血症でショックを伴うものを、敗血症性ショック、いろんな臓器が障害されるのを多臓器不全という。

 肺炎でもないのに、肺が悪くなり、呼吸困難が強くなっていくARDS(成人呼吸窮迫症候群)という状態に陥ることも多い。このような合併症を起こすといずれも死亡率が高い。

 「ごく簡単な手術だ」と勧められて気軽に手術を受け、手術自体は成功したが、MRSAによる腸炎を起こし、その後敗血症からARDSになる例もある。最近では、MRSAをすでに保菌している人もある。腹部の手術後に胃酸を抑える薬剤H2 ブロッカーを使用していると、感染はよけいに起こりやすく、重症化しやすい。

 医療機関ごとに、手術後の合併症の率がどの程度あるのかといったデータについても、もっと正確なものを用意しておくべきであり、そのようなことがきちんとできるように、国レベルでも対策を考えるべき時であろう。

                                                 (日経新聞1998年1月19日付け改変)

 

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