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star01e.gif 貧血症 原因の大半は鉄分不足star01e.gif

 

  

  

 赤血球の数、体積、中のヘモグロビンの濃度が一定以上減少した状態のことを貧血という。脳貧血と正式には医学上は貧血とは言わない。

 赤血球は酸素を運搬するという生命の維持に基本的に大切な働きを持っているので、赤血球が極端に不足してくると、生命の維持がおぼつかなくなる。

 ヘモグロビンの濃度は普通15〜16グラム/デシリットルだが、これが12を切ると貧血という。ヘマトクリット値(赤血球の血液に対する体積比)で言うと36%未満になる場合である。

 これが徐々にくるとそれほど感じないが、それでも、ヘモグロビンで10グラムを割り込むと動悸や息切れがおきることがあり、8グラムを割り込むと、ほぼ確実に吐き気や動悸、息切れをするようになる。不足した赤血球を早く回転させることで、組織の酸素不足を補おうと体が反応するからである。

 貧血の原因として圧倒的に多いのが、鉄分が不足した貧血である。若い女性にかぎらず、月経の多い人(子宮筋腫があると月経も多くなる)は、原料の鉄分不足で、赤血球の数はあまり変わらないが、一つ一つが小さい赤血球ができてしまう。これを鉄欠乏性貧血という。血液中の鉄分を調べて減っていることを確認すれば診断が確定する。治療は、鉄分を薬にした造血剤を補えば1週間にほぼ1グラムずつくらいのスピードで回復する。これを飲んでいると便は黒くなる。

 ただし、月経のない(あるいは多くない)女性や男性でこのような鉄欠乏性貧血があれば、胃や腸など消化管からじわじわと出血している可能性を考えて、便の潜血反応や胃の内視鏡検査をする必要がある。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃癌や大腸など癌のおそれもあるからだ。

 一時に多量に出血すれば急速に貧血になり、2000ml以上も出血すればショック状態となり、血圧が下がり、意識がなくなることもある。この他、アレルギーや免疫の異常、ヘモグロビンの異常などで赤血球が壊れやすい状態になっていて貧血を起こすこともあるし、先週紹介した骨髄の異常でも貧血が起きる。

 それぞれ原因を確かめた上で、必要な適切な治療を受けるようにして欲しい。

日経新聞1998年10月5日付改編

 

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