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体の中に存在するものが不十分になったり無くなった場合にこれを補なう療法を「補充療法」という。 あるべきものが無くなって病気が起こり、不足しているものを補うことによって病気をコントロールしようとするものだから、ある意味では原因に迫る療法だ。しかし、原因を取り除くわけではないから、根本的な原因療法とも異なる。その意味で補充療法は原因療法とは区別して考える。 中年になると目のレンズである水晶体の弾力性がなくなり老眼になる。これはめがねで補う。歯が抜けたら入れ歯を入れる。これらも一種の補充療法だ。 薬の補充療法で最も重要なのは、ホルモン補充療法。中でもインスリン不足で起きる糖尿病は、インスリンを注射することで寿命も目の合併症も少なくなることが証明されている。甲状腺のホルモンが足りないために起きる甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンを補充する。 体内に必須のものが足りなくなって補充することは非常に大切なこと。インスリンの注射は、「打ち出したら一生打たないといけない」という誤った考えから嫌がられることも多いが、インスリンが不足すると単に血糖値が高くなるだけではない。たんぱく質や脂肪の利用も不十分となり、不都合なことがいろいろと起きてくる。インスリンが不足した糖尿病の人には、インスリンの補充療法はとりわけ大切。老眼になったら眼鏡をかけないと不自由するが、それ以上にインスリンの不足した人には必要なことである。 更年期障害が強い場合に少量の女性ホルモンを補充すると症状が軽くなるがこの場合も典型的なホルモン補充療法であるが、この場合には本来の生理的な状態でも女性ホルモンの量は少なくなっているためホルモンの補充量によっては副作用も十分考慮する必要がある。 日経新聞1999年10月4日付改編 |
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