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新聞などでは「説明と同意」と翻訳されることが多いが、もともとの意味は「適切な情報が提供された上での同意」ということ。臓器移植や脳死判定、あるいは臨床試験の際に話題となることが多いが、そのように特別なものではなく、むしろ、日常の診療でこそ必要な手続きである。 インフォームド・コンセントは、その治療や検査など医療行為によって得られる都合のよいことと、考えられる不都合なことについて、医師が患者に正確な情報を伝え、患者がそれに納得して同意する行為をいう。いろいろな治療方法がある中から、自分に一番合うと思われる方法を選択することを、インフォームド・チョイス(情報提供と選択)という。 医学的な判断は患者には無理だから医師に任せておけばよい、という考え方が以前は医師にも患者にも支配的であった。しかし、人にはいろいろの生き方があり、医学的な手段も一通りではない。薬剤に頼らずに運動や食事療法を好む人、逆に薬に頼りたいと思う人もいる。手術にしても、院内感染など術後の合併症がある程度問題になる。軽い気持ちで受けた手術が命とりになることもある。しかし、放置すれば症状を我慢しなければならない。 医師の独断を患者に強制したり、「何の心配もない安全な手術や薬」と説明した後で命にかかわるようなことがあった場合、医師と患者の関係は悪化する。一向に減らない薬害事件や医療訴訟などの典型的なパターンである。 患者が正しく判断する前提として、何よりも情報そのものが正しくなければならない。本物のインフォームド・コンセントのためには、情報の質の見直し、当たり前のように行われているが本当は価値がない医療行為(薬剤はその最たるものだが)の見直しが不可欠である。 (日経新聞1997年12月8日付け改変) |
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