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薬剤は化学物質であるが、その物質の性質に関する情報、つまり医薬品情報がなければ、完全な「くすり」と言えない。 医薬品情報に含まれるべき中身はいろいろである。まず、組成(添加剤も含めて)、一般的な患者に使った場合の望ましい働き(効能・効果)、使うべき病気や症状(適応症)、一般的な使用方法(用法・用量)、その用法や用量で使用した場合に現れる望ましくない性質(害反応・副作用)などが含まれていなければならない。 さらに、標準的な人だけでなく、その薬剤を使うと著しい害が現れるために使えない人(アレルギーや肝臓・腎臓障害など禁忌の病気)や、使用量を変更する必要のある状態に関する注意、併用してはいけない(併用禁忌)薬や相互に用量を調節すべき薬剤、起こりうる特別に重い害、過剰使用がなされた場合の症状や対処のし方、妊娠中や授乳中の注意、小児には使えるかどうかなどである。医師や薬剤師向けの情報には、薬剤を使用した時の標準的な血中濃度の動きや、肝臓か腎臓のどちらから主に排泄されるか、動物実験ではどの程度大量投与したり長期に投与するとどの臓器にどのような中毒症状が現れたか、発癌性はどうかなどの情報も大切である。 何と言っても、それらの情報が適切な科学的な根拠のある研究によってなされ、すべての情報がオープンになっていなければならない。 薬剤の品質として、製品に不純物やごみ、細菌などが混入しないことはもちろんであるが、薬剤の品質を決定する基本情報は、本当に効き目があるのか、重大な害はないのかについての情報であり、それがオープンになっていることが大切である。 その意味では、多くの薬害を起こし、無効な脳循環代謝改善剤(いわゆる抗痴呆薬)などが出回った日本では、医薬品情報つまり医薬品の品質、医療の品質に問題があるといえる。 良品質の医療のためにはこのような良質な医薬品と医薬品情報が不可欠だ。偏り勝ちな企業情報に頼らず、資金的、人的に独立した中立的機関で科学的根拠に基づいて評価した情報が求められていると言えよう。 そのような情報作りがイギリスで20数年前に始まった。他国にも広がり、日本でも医薬品・治療研究会(別府宏圀代表)が月刊誌「TIP(正しい治療と薬の情報)」を1986年に創刊した。国際医薬品情報誌協会(ISDB)はそのような情報誌の国際組織である。
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