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他人の血液はいくら献血でも、不適合輸血や感染症、輸血後GVHDなどの危険がつきまとう。そこで、自分の血液を前もって採血して保存しておき、必要な時に自分の血液を輸血するのが自己血輸血の方法である。正確には「貯血式自己血輸血」という。自己血輸血にはこの他に、手術時や手術後に出血した血液を回収してフィルターを通してもとにもどす「回収式」や、血液手術直前に採血しておいて、輸液で血液を薄める「希釈法」も一種の自己血輸血である。 貯血式にも二つの方法があり、凍結しておいて、必要な時に解凍して使う方法と、液状のまま貯血する方法がある。凍結する方法は凍害防止剤を加えるため、使用にあたっては大量の生理食塩液で洗浄する必要があり、特殊な施設でしか実施できない。一方、液状のまま貯血する方法が、普及し始めてから、自己血輸血は急速に普及しはじめた。 緊急手術の場合には、貯血式自己血輸血を応用することはできないが、手術する予定が前もって決まっている場合には、手術の2〜3週間前から、1週間に1回400ml程度づつ採血して保存しておき、手術で出血した時にこれを使うようにする。標準的な体の人では、血液は1週間で約300mlあまりの血液が作られる。他に病気がなく、最初から全く貧血がない場合には必要がないが、やや少ない目のような場合には、造血剤として、鉄分を補給しながらエリスロポイエチンという赤血球を増やす薬を注射しながら採血をする。 他人の血液の輸血は、同種血輸血と呼ばれる。輸血に際しては、現在、輸血をしないで輸液や薬でほんとうに治療ができないのか、輸血には自己血輸血と同種輸血(他人の血液)があること、その危険と利益についての説明を十分に受けたうえで、疑問点はよく説明を受けてそれぞれが選択をして欲しい。とくに、緊急の手術でないかぎりふつう手術の予定日まで3〜4週間以上もあることが多いが、このような場合には、腹部の手術でも自己血輸血ができる場合も多い。 日経新聞1998年11月16日付改編 |
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