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star01e.gif かぜ 抗生物質や解熱剤不要star01e.gif

 

  

  

 抗生物質や解熱剤不要  「かぜ」は正式には、かぜ症候群という。鼻からのど(上気道)にかけて起きた急性のカタル性炎症と定義されている。カタル性炎症というのは、粘膜の破壊を伴わない程度の軽い炎症を意味する。粘膜表面には水鼻のようにさらっとした液がでる。くしゃみ、鼻水、喉の痛みの他、咳や痰、下痢、全身がだるく関節痛などの症状がでるが、たいていは2〜3日から数日で治る。

 A、B、Cのインフルエンザウイルスの他、ライノ、エコー、アデノ、コクサッキーなど100 種類を越えるウイルスが原因となりうる。この他、オリンピック肺炎との異名もあるマイコプラズマ(細菌より小型でウイルスより大きい微生物)も軽い場合にはかぜ症状だけで治る。はしかも鼻かぜ症状で始まる。  かぜは万病のもとといわれるが、これは正しくは、「万病がかぜによく似た症状で始まる」ということである。

 かぜそのものが重くなることはごくまれで、それよりも重い病気の初期の症状が咳、痰、発熱であることの方が重要である。  たとえば、心不全にしても喘息でもはじめは軽い咳から始まる。重い感染症である敗血症や肺炎も発熱ではじまるし、花粉症も始めは鼻かぜと区別し難い。 

 かぜの原因の90%以上がウイルスなので、抗生物質は不要だし、発熱には解熱剤は基本的に不要だ。最近厚生省からインフルエンザ脳炎・脳症による死亡に強力な解熱剤(非ステロイド抗炎症剤系解熱剤)の関与を示唆するデータが発表された。詳しく検討すると強い関連性を示している。

  患者さんにとっては、かぜ症状が他の重要な病気の始まりでないか医師によく確かめてもらうことが一番大切だ。他に重大な病気の可能性がなければ、抗生物質や解熱剤は基本的には不要であることを十分に納得して頂きたい。重症化を防ぐには、日頃から過労を避け、不要な薬剤の使用を避け、十分な睡眠と休養をとることが最も大切であることを改めて強調したい。

日経新聞2000年1月31日付改編

 

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