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star01e.gif血中濃度 使用量のモノサシにstar01e.gif

 

  

  

  亡くなったダイアナさん(英国皇太子の前妃)の運転手が酩酊していたことが、血液中のアルコール濃度から判明したという。アルコールに限らず、薬剤についてもいろいろなことが分かる。

 例えば、さかづき一杯のお酒でも頭がガンガンする人がいるかと思うと、2リットル飲んでも平気な人もいる。薬でも血中濃度の上がり具合は、非常に個人差が大きい。

 だから、病院では標準的な量をまず使用して、薬剤の血中濃度を調べる。その薬剤が効く濃度に達しているかどうか、害を起こす濃度になっていないかどうかをチェックするためだ。効く濃度と中毒症状が出る濃度とが接近している場合や中毒症状が重い場合には、特に検査が必要である。

 よく行われるのは、喘息薬のテオフィリン、心不全や不整脈の薬ジキタリス剤、不整脈の薬でリドカインやメキシレチンなど。けいれん(てんかん)の薬や躁うつ病の薬のリチウムも大部分血中濃度が測れる。重症の感染症で抗生物質のアミノグリコシド系薬剤を大量に使用する際、腎臓への障害を避けるために測定は欠かせない。

 不整脈の薬を常用している人が、久しぶりに不整脈を起こして受診した。血中濃度を測ると極端に低い。筆者は自信をもって「薬を飲んでいないでしょう」と聞いた。ところが本人は、「そんなことはない。絶対飲んでいる」と頑強に否定する。そんなはずはない、「ともかく一度入院してから調べましょう。」と、入院してもらった。入院すると、病室を間違えるなど異常言動が目立ったので「はた」と気がついた。ある薬剤の使用を止めたら、異常行動はなくなった。不整脈の薬を飲まなかったことを忘れていたことが分かった。

1997年9月8日付け日経新聞夕刊

 

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