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低いところにある水を高いところに移動させるときには、ポンプを使って送り出す。同様に血液を体の体のすみずみまで届くようにするため、心臓が圧力をかけて送り出している。こうして血管内に生じる圧力が血圧。ふつう動脈血圧を指す。水銀柱の高さに換算してmmHgで表す。Hgは水銀のこと。たとえば120mmHgだと動脈内の圧が大気圧約760mmHgより120mmHg分高いという意味。 心臓が収縮している時血圧は最も高く、拡張している時最も低いので、最高血圧、最低血圧と言われるが、正しくはそれぞれ収縮期血圧、拡張期血圧。 家庭用血圧計はほとんどデジタルだが、病院では水銀柱のある器械と聴診器で測定することが多い。上腕にマンシェットというものをを巻き付け、その中に空気を送り込んで腕に圧力をかけて血管を圧迫する。血圧よりもマンシェットの圧力が高くなると、血管は圧迫されて血液が動脈を通れなくなるから、マンシェットの先の動脈に聴診器を当てても音は聞こえない。収縮期血圧よりもマンシェットの圧が低くなって、拡張期血圧よりも高い場合には、血液が通ったり途絶えたりし、そのたびに血液が飛び出す音がする。しかし、拡張期血圧よりも圧迫が低いと、動脈がいつも開いている状態であり血流が途切れることがないため、音が聞こえなくなる。 このように、音が聞こえ初める時の水銀柱の値が収縮期の血圧であり、音が聞こえなくなる時の血圧が拡張期血圧である。 正常の人の収縮期血圧は 100〜130mmHg 程度、拡張期血圧は60〜80mmHg程度である。収縮期血圧が140 mmHg以上あるいは拡張期血圧が90mmHg以上を高血圧、収縮期血圧が 100mmHg未満は低血圧とされている。 血圧は秒単位でも変化する。診察室に入ったすぐは緊張していて高めの人が多いし、走った直後はたいてい高い。肩や喉の力を抜いて腹式呼吸で深呼吸(特に大きく吐く)を数回してもらうだけで収縮期血圧が10や20は下がる人は多い。30以上下がることも。逆に緊張して計るたびに上がる人もいる。どうしても下がらず家で計ると正常の人は「白衣高血圧」と呼ばれる。家でゆったりと落ちついた時に自分で計るとよい。 日経新聞1998年6月8日付改編 |
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