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star01e.gif コレステロール低下剤 日本人、必要性少ないstar01e.gif

 

  

  

  コレステロールが高くなると増える病気は、あらゆる病気のうち、心筋梗塞だけだということを高脂血症の項で述べた。

 だから、コレステロールを下げることが意味がある病気はもしもあるとしても、心筋梗塞だけということだ。

 ではなぜこのように、コレステロールが大事に思われるのか。

 欧米では、心筋梗塞など循環器の病気による死亡が多いからだ。欧米では、死亡全体に占める循環器の病気の比率は50%にも達し、そのうち約80%(全体の40%以上)が心筋梗塞など虚血性の心臓病である。

 一方、日本人の病気全体に占める循環器の病気の割合は30%。そのうち多くは脳卒中であり、心筋梗塞など虚血性の心臓病は全体のわずか6〜8%にすぎない。欧米と比較してその違いは歴然としている(日本人の心筋梗塞による死亡の危険は欧米の10分の1から5分の1)。

 心筋梗塞死の原因になるコレステロールを何とか減せないものかと、欧米で躍起になって探すようになったのも、これ程心筋梗塞の多い社会であれば無理もない。1949年にはコレステロール低下剤の開発が始まっている。しかし初期の頃は毒性が強くて次々に開発が断念された。最初は歓迎されても、薬害で消えていったものも少なくない。女性ホルモンも試みられたが発癌性などが問題になった。コレステロール低下剤は薬害の歴史だったとさえ言える。

最近登場した「スタチン」類は欧米の人では心筋梗塞を減らしたり、死亡率全体を減らすことができたため、余計に宣伝に拍車がかかっている。しかし、日本人はもともとコレステロールが高い方が危険が少ないのだから、狭心症や心筋梗塞にすでになってしまった人以外は少々高くても使う必要はないだろう。

特別心筋梗塞の起こす危険のないような人でコレステロール値が220〜270程度の人ではコレステロールを下げる必要はない。

 心筋梗塞が怖い人で、たばこを吸っている人は、まず禁煙することだ。禁煙は癌の予防にもとても大切だ。

このようなコレステロール低下剤に、年間約3000億円をつぎ込んでいるが、それほど価値はあるのろうか、逆に健康に害を及ぼしている危険さえ考えられる。真剣に考え直すべき時期と思う。

日経新聞1999年7月26日付改編

 

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