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同じ麻酔剤という名前はついていても、全身麻酔剤と局所麻酔剤はまったく性質が異なる。局所麻酔剤は、意識を失うことなく、局所の痛みだけを抑える。全身麻酔剤はアルコール類似の物質であるが、局所麻酔剤は、精神病用の神経遮断剤や抗不整脈剤などと同じ系統の物質である。神経が信号を伝えるのを遮断する作用がある。 全身麻酔剤が大きい手術で使用されるが、局所麻酔剤は、歯科での抜歯、小手術の際の局所麻酔、足や手全体の麻酔に使用される。脊髄腔内に入れて脊髄麻酔をしたり、脊髄を取り巻いている硬膜という膜の外側のスペースにうまくいれて,硬膜外麻酔というのをするのに使われる。また頑固な三叉神経痛などに対する鎮痛のために使ったりもする。 麻酔剤ショックが時々問題になることがあるが、これは多くの場合,局所麻酔剤である。局所麻酔剤によるショックにはアレルギーによるアナフィラキシー・ショックと中毒性のショックがある。 アナフィラキシー・ショックでは10分以降に起こりはじめることが多く、起こりはじめはジンマシンやくしゃみ、呼吸困難が起き、ショック状態となる。治療にはまずアドレナリンが必要だ。病院や医院を出てから起こることもあるので注意が必要である。 一方、もともと、局所麻酔剤は神経遮断剤の系統の薬であるので、直接血管の中に入ったりすると、血圧が下がり、ショック状態になることがある。薬剤過剰によるこのようなショックの方がどちらかといえば多い。治療にはまずノルアドレナリンが必要でアドレナリンは禁忌である。 いずれにしても死亡の原因にもなりうるので使用後は注意深い観察が大切だ。 日経新聞1999年12月20日 |
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