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star01c.gif 悪性 難治の病気多く要注意star01c.gif

 

  

  

 性根のやさしいこぶとりじいさんのこぶは「ころっ」ととれて、いじわるじいさんのこぶはとれず、ついには命とりになるというのは昔話。現実には人の性質と悪性腫瘍とはまったく関係がない。

  悪性とは、病気の性質が悪いという意味。つまり治りにくい(難治)ということ。そして難治の病気の代表は、なんといっても悪性腫瘍のがんと肉腫だ。がんは皮膚とか胃や腸、肺、肝臓や腎臓、膀胱、子宮などの細胞が変異してできるもの。肉腫は、筋肉や骨、血液、リンパ節の細胞からできる。 

 最近、医療現場では真実を話すことが重視され、がんの告知も進んでいる。筆者も在職中は、ほぼ90%の人にがんを告知していた。

 しかし、がんや肉腫という言葉を使わず「腫瘍ができています。腫瘍には良性と悪性がありますが、あなたのは悪性です。」と説明をして告知したと思っている医師も多い。患者を思って婉曲に言うのだが、「がん」という言葉がないため「がんでなかった」と思い込む人もいる。要注意だ。 

 また、がんや肉腫以外にも悪性高血圧、悪性関節リウマチ、悪性症候群など、「悪性」がつく難治の病気があるので注意してほしい。

 逆に、悪性貧血は昔は極めて難治の病気であったが、ビタミンB12の吸収不良が原因だった。これさえ注射補給すれば、現在ではまったく「悪性」でない。

1997年4月21日付け日経新聞夕刊

 

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