|
|
|
|
|
|
体を切り開くことなく、内部を観察したいという気持ちは、ほぼ 150年もの歴史があると言われる。以前は硬い金属でできたまっすぐの管であったが何しろ硬い。これは柔らかい内視鏡の先端に小型カメラを付けた胃カメラが開発されて解決したが、直接患部を見ながらの撮影ではなく、後でフィルムにして見ないといけないという欠点があった。この欠点を補ったのがグラスファイバーを用いたファイバースコープである。柔らかくしかも直接観察しながらフィルムにも撮影でき、解像度もはるかに改善した。しかし、一人だけでしか観察できないし、画面は小さく、解像度も十分とはいえなかった。 このような点を一気に解決したのが最近の電子内視鏡である。スコープの先端に装着したCCD(半導体映像素子カメラ)で捕らえた画像信号を電気信号に変えてビデオ処理装置に送りビデオ信号に変換してモニターテレビに写す。解像度がよく、明るく、しかもテレビ画面にリアルタイムに写しだすので、複数の医師が同時に見ることができ、緊急の検査や内視鏡を使った処置や手術、新人の医師の教育などにも抜群の効果を発揮している。 内視鏡が最もよく使われているのは、食道、胃、十二指腸を観察する上部消化管と直腸や結腸(大腸)を観察する下部消化管の検査である。胃潰瘍や胃がん、大腸ボリープや大腸がんの診断や治療に威力を発揮している。例えば胃潰瘍からの大量の出血の際の緊急内視鏡的止血術、初期の胃がんや大腸がん、胃や大腸のポリープの内視鏡的切除などだ。 この他、肝硬変になった人の食道静脈が太くなりすぎて破裂しそうになった場合に出血しにくくするような処置(食道静脈瘤結紮術や硬化術)あるいは、胆管(総胆管)にたまった結石で黄疸が出た場合にこれを取り除くための内視鏡的乳頭切開術、経皮胃瘻孔造設術など、消化器だけでも診断以外に治療の方面でも大活躍をしている。 消化器以外にも気管支や膀胱、関節、血管、腹腔や胸腔など、体の中のあらゆる空間の観察や治療にまでひろがっているが、一方でやはり挿入や処置の際の技術によっては事故もありうる。感染や出血、穿孔など思わぬ合併症も皆無ではないので、その点についても知ったうえで,検査を受けるかどうかの判断が必要だ。 日経新聞1999年3月15日付改編 |
|
|
|