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star01e.gif 脳波検査 波形不規則なら異常もstar01e.gif

 

  

  

  脳で生じる微弱な電気的変化を捕らえて記録したものが脳波である。

 電気の強さ(電位差)は通常10マイクロボルトからせいぜい100 マイクロボルト。心電図がふつう1〜5ミリボルト(1000〜5000マイクロボルト) だから、脳波の電気的な強さは心電図の百分の1 〜数百分の1程度にすぎない。

この微弱な脳の電気的活動を、頭にのりで張りつけた20か所ほどの小さな電極からとり、強力で精密な装置で増幅し、30分〜1時間連続して紙に記録していく。

人の脳波は、目を開けている時と、閉じて静かにしている時、眠っている時では異なる。目を閉じて静かにしている時の脳波が基本であり、周波数10〜11ヘルツ(1秒間に10〜11回上下する)の規則的な波がα波。リラックスした時に出る脳波として、ご存じの人も多いと思う。考えごとをしたり、刺激されたり、目を開けるとα波は消えて、振幅が小さく、周波数の多いβ波になる。睡眠に入ると4〜7ヘルツのθ(シータ)波、もっと遅いδ(デルタ)波が出現するようになる。高齢者では、α波の周期が長くなって、θ波が出現するようになる。

 正常に出現するこれらの波も、左右が対称でない場合や、普通出ない時に出現する場合は異常を疑う。また、それが出現するだけで異常という波もある。

 最初に脳波が応用された病気はてんかんであり、今でも、てんかんの診断に威力を発揮している。

 全く脳の活動が停止してまうと脳波が出なくなるが、その逆は必ずしも正しくはない。完全に脳波が出なくなった人が回復することも稀ながらあるからだ。

脳波で、考えていること分かるのではないかと思う人もいるかもしれないが、それは不可能。脳波に異常が出るのは、てんかんの他、脳に構造的な異常や不調がある場合、たとえば脳瘍や脳卒中、頭の外傷などによって脳に傷ができたり、重い肝臓病や脳炎などだ。 また、てんかんの素因のある人は、かぜをひいたり、かぜ薬、ある種の精神安定剤、抗うつ剤、インターフェロンなどでもてんかん発作を起こしやすくなるし、脳波の異常も起こしやすくなる。

日経新聞1998年11月30日付改編

 

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