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脳卒中の患者は動かしてはいけないといったのは昔のこと。もちろん激しく動かしてはいけないが、検査や処置、早期のリハビリのためには、しかるべき医療機関に受診するのがよい。脳卒中では、患者の意識がなくなり、死亡率が高く、重い後遺症を残すことが多いので、その治療方法の適否がこれまであまり厳密に問われてこなかった。 問題となったいわゆる「抗痴呆薬」と呼ばれる脳卒中後の後遺症状改善を目的とした脳循環代謝改善剤の4成分は無効が判明した。 また、これまでにあたりまえにおこなっていた治療でも、厳密な方法で見直しをした結果、効果がないとか、かえって危険ということが分かってきたものが脳卒中の分野では多い。 たとえば、脳血栓は血が血管の中で固まるので、固まった血を溶かす薬がこれまで使われてきたが(脳塞栓症にはこれまでも危険と言われてきた)、かえって脳出血や脳以外の部位で出血を増す結果、死亡率も全体としては増加することが分かってきた。 脳卒中を起こした時には血圧が上がっていることが多いので、高すぎるのは下げてきたが、厳密な評価では、血圧を下げても死亡率を低下させていない。脳の浮腫を取るためのステロイド剤も全く無効との結果であり、有害な可能性もある。よく行われている濃グリセリン液の点滴も最終的に死亡率は低下しない。 脳卒中の急性期の治療は、呼吸や酸素、栄養と水分の補給、排泄の管理と感染を予防すること、床擦れを作らないようにし、痙攣や興奮に適切に対処しつつ、体の各部位の機能が落ちないように、また機能が回復するようにリハビリを行うことが重要。それに何よりも家族や回りのものとの温かいコミュニケーションが欠かせない。 日経新聞98年7月27日付改編 |
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