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1998年4月から臨床試験を実施するにあたり同意文書を残すことが義務付けられるようになった。臨床試験におけるインフォームド・コンセントの行為を裏付ける文書である。医師と患者の双方がサインをする。 臨床試験は「薬の候補」の研究で、治療以外の要素が強い。このため説明は特に入念に患者の人権に配慮してなされなけれはならない。実際には次のような順序で行われ、説明文書にもその内容が書かれる。 1)今考え得る治療のうち最高水準の治療が実施され、それだけでも十分な治療であることを確認する。 2)これが研究を目的とする臨床試験であること。 3)なぜその研究が必要なのか:これまでの薬ではどのように限界があり、その「薬の候補」でどのような効果が期待できるのか。 4)これまでに判明し、予想される危険性の種類と頻度。それに不測の事態もあり得る点。健康被害が生じたら必要な治療が行われる点。被害補償について。 5)どのように試験を実施するのか(別記「臨床試験」参照)。偽薬が使われる可能性もあり得ること。 6)患者の秘密が保護されることを条件に、製薬企業の人や治験審査委員等がカルテを閲覧し得ること。 7)試験に参加してもしなくても診療等で差別や不利益を被ることはない点。 8)すぐ判断できない時はさらに詳しい説明を求め、他の意見を聞き相談することも可能ということ。 9)一旦承諾してもいつでも断ることができる点。 10)以上を考慮して最終的に患者自身がだれから強制されることなく、自由意思で判断すべきこと。 11) その他、患者の人権を守るために必要なことがらが記載されている。 これまでは、普段の診療の合間に医師が説明していて十分な説明もされないことが多かったが、今後は、治験コーディネーターという訓練を受けた専門の人が説明を担当するので、より丁寧な説明がされるようになることが期待されている。患者にとって必要のないローカルドラッグの臨床試験は不要だ。今は慣れない基準で医師も患者も混乱しているが、今後は、厳選され意味のある薬の「候補」が患者の人権がしっかりと守られながら臨床試験されることを期待したい。 日経新聞1998年9月7日付改編 |
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