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心不全の薬といえば「強心剤」のイメージが強いが、心不全の薬の中心は今や強心剤ではない。安定した慢性心不全でも、急激に症状が悪化した時(急性期や急性増悪期)でも同様だ。 では、今日の心不全治療薬の中心は何か。 急性心不全あるいは慢性心不全の急性増悪の時期には、体の中に水分がタップリと溜まっている。そのために余計に心臓に負担がかかり、心臓がつよく収縮できなくなっている。まずは、体から余分の水分を追い出すことだ。だから、この時の強心剤(心不全の薬)の主役は、利尿剤である。特に急性期には強力な利尿剤が威力を発揮する。今にも息が止まりそうだった心不全の人が、利尿剤で数時間の間に5000mlも尿が出て治まった例もある程。 次に血管(動脈や静脈を広げる)を拡張させる薬が必要だ。 慢性の軽い心不全には、塩分や水分を制限するだけでよい場合があるが、すこし強くなってくると、血管を広げて心臓の負担を減らす薬(血管拡張剤)を使用する。ACE阻害剤は主に動脈、硝酸剤は主に静脈を広げる。 ジギタリスという薬は、かつて強心剤の代名詞とも言えるほど心不全治療の中心であったが、今や利尿剤や血管拡張剤にとって替わられた。唯一の使い道は、心不全で脈が早く、その脈を遅くする必要がある場合だけだ。それ以外はほとんど使い道はなくなってきた。 最近登場してきた強心剤の新薬は、ジギタリスとは異なるものだが、心臓を興奮させる薬だ。一つはアドレナリン系の薬剤で、もう一つはカフェインの仲間。急性期の短期間の効果はあっても、長期に使うとかえって不整脈などの副作用があり、危険であることが確認されていて外国では使われていないもの。しかもこのような価値のない新薬が古くからあるよい薬よりも高価であったりする。問題薬の典型例である。 日経新聞1999年4月26日改編 |
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