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心筋梗塞につながる狭心症が生じてしまったときには、病気の進行を遅くすることが肝心だ。そのためには、血液の固まり(血栓)が大きくならないようにするとよいことが分かっている。 有効性と安全性が確認され、科学的根拠が確かで、欧米では標準的な予防法であり、しかもはるかに安価な薬がある。鎮痛剤のアスピリンを少量使う方法だ。痛み止めやリウマチの薬としてのアスピリンは、大人で1日1〜 1.5g 程度が必要だが、血栓ができるのを防ぐためには、1日量として80〜 100mg程度で間に合う。多いと効果が少なく副作用も出る。1か月の薬代は210円程度だ。 ところが、日本ではこの最も信頼性の高いアスピリンを心筋梗塞の予防に使うことが正式には認められていない。 一方、日本で認められている予防薬剤はアスピリンと同じような作用をもってはいるが、大部分はアスピリンほど効果も安全性も確かなものでない。そのような薬剤が1か月で2万円である。長期間使用して寿命を延ばす力があるのかどうか怪しいにもかかわらず、である。 心筋梗塞になってしまったら、直後は、血栓溶解剤を使用する療法があり、この方法も寿命を延ばす(死亡率を下げる)ことが確認されている。このほか、心臓をとり巻いている冠血管に造影剤を入れて映し出し、詰まっている所を確かめ、直接そこに血栓溶解剤を注入する方法、狭くなった血管を風船を膨らませて広げる方法、詰まった血管を取り除いて他の部位から血管を持ってきて、つなぎかえる手術も行われている。 さまざまな治療法は開発されるが、予防にまさる方法はない。 1997年10月20日付け日経新聞夕刊 |
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