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収縮期(最高)血圧が、100mmHgより低い場合をふつう低血圧という。慢性的に血圧が低い場合や、立ち上がった時などに一時的に血圧が下がるのはあまり気にすることはない。しかし、冷や汗、手足の先が冷たい、呼吸困難あるいは「熱」が出ていて血圧が下がるとか意識が無くなるような場合には「ショック」症状と考えてすぐに診察を受けた方がよい。 収縮期血圧が100以上でも、降圧剤を使用中130未満になるのは特別な場合以外低すぎる。薬を減らした方がよいことが多いので医師に相談して欲しい。 血圧の薬を飲んでもいないのに慢性的に血圧が100未満の人は低い血圧に慣れていて気にならない場合が多い。それに血圧が低いこと自体は、高血圧とちがって心臓病や脳出血、脳梗塞など重大な病気や寿命を縮めることにはあまりつながらない。むしろ血圧の低い人は、高い人よりも長生きする傾向があるほどだ。ただし、血圧が90mmHgも切るようなことになると、体がだるく元気がない、ふらつきなどの症状を訴える人が多くなってくる。 急にストンと血圧が下がると血の気が引く感じや目の前が暗くなり意識がなくなることも起こってくる。以前書いたアダムス・ストークス症候群などの可能性を考えて検査が必要だ。 急に血圧が下がる最も多い原因は、急に立ち上がった時におきるいわゆる「立ちくらみ」。屈強の青年男性も起こすことはあるが、やせた特に高齢の女性は起こし易い。医学的には「起立性低血圧」の症状だ。立ち上がったすぐのことも数分してから生じる場合もある。立った時の血圧が、横になって計るより30以上も低くなる場合起立性低血圧という。 慢性的な低血圧でも特別に原因がはっきりしないものが圧倒的に多いが、中にはホルモンの不足や、脳の働きの不調、糖尿病で自律神経が不調になっていることが原因になっていることもある。仕事や生活に支障があったり症状が強くなっていく場合には詳しい検査をした方がよい。 立ち上がる前に少し体に力を加え、ゆっくりと立ち上がることは、立ちくらみの防止には役立つ。「よっこらしょ」という掛け声はその意味では理に叶っているようだ。 日経新聞98年6月29日付改編 |
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